議論の整理・・・
世界はグローバル化の波に包まれているが、特に先進国においては、伝統文化をその国らしさとして提示し続けている国も多い。その代表的な例がイギリスである。我々がイギリスらしさを考えた時、歴史的建造物や紅茶、山高帽の紳士など、ステレオタイプの伝統的なイメージが真っ先に浮かぶ。対外的な文化施策を牽引しているのはブリティッシュ・カウンシルとアーツ・カウンシル・イングランドである。近代史を紐解いてゆけば、イギリスは国家イメージを時と場合に応じて使い分けてきたことがわかる。戦時中にイギリスの威信を象徴する意図、英語の世界的普及を推進する帝国主義的な意図、20世紀以降の若手アーティストへの投資に始まる「クール・ブリタニア」などが例として挙げられる。これらの事例から、国家イメージは常に隣接する国々と競合せざるを得ない状況の中で生まれる、自己防衛的なナルシシズムであるとも指摘されている。
問題発見・・・
近年になって、日本も対外イメージの醸成に乗り出してきている。「おもてなし」や「クールジャパン」がその例として挙げられるだろう。現代日本に即したキャッチフレーズを掲げる一方で浮世絵や芸者などの伝統的なイメージも共存している。日本が今後「日本らしさ」を固めていくにあたって、イギリスから学ぶことはあるだろうか。
論証・・・
これから、世界各国それぞれの国がグローバル社会の中で国家イメージを形作っていくようになる。それを先んじて意識的に行っていたイギリスの事例を研究することが、これからの時代に必要な国家戦略のヒントになるのではないだろうか。
結論・・・
上記について、イギリス文化史に精通した渡辺愛子教授のもとで研究を進めることを希望する。
渡辺 愛子「イギリス文化政策にみられるEnglishness/Britishness ~予備的考察~」『多元文化(早稲田大学多元文化学会紀要)』3p.46 – 81、2014年02月
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