早稲田大学 文学部 AO入試 志望理由書 提出例(三浦清美ゼミ向け)

■議論の整理

聖者が啓示を受け、それらを後世に伝えるために書かれた伝記群は無数に存在する。中世ロシア文学の中の一つに位置付けられそうな『伴狂者アンドレイ伝』もその一つだ。この伝記が広く受け入れられた理由には、アンドレイがスラヴ人であったことなど、当時のロシアで受け入れられやすい素地があったことが挙げられる。

 

■問題発見

一方で、このアンドレイ伝が受け入れられたのは、話の筋が面白い「読み物」としての側面が強かったことが挙げられている。「アンドレイの経験した事件や奇跡、コンスタンティノープルに暮らす人々と彼らの身の回りで起こった出来事が物語られている。これらの話はかならうしも純粋に聖者伝的な主題とは密接な関係をもつものとはいえないし、しばしばそうした主題とまったく関係をもたないこともある」※1。これが意味することは何だろうか。

 

■論証

宗教は広く流通する物語でなくてはならない。物語は人々を誘惑するものがあるのだから、面白い物語であればその宗教や奇跡は広く受け入られたり、親しみやすくなったりするだろう……。このように述べるのは簡単で、宗教と物語の共犯関係を論難し、批判を浴びせることはできるかもしれないが、それでも物語はなおも存在し続ける。

 

■結論

物語は物語と言うだけで悪ではないし、物語の効果を使って私たちは生きている。物語なしで生きている人はこの世にいるのだろうかと逡巡してみれば答えはすぐ出てくる。物語を利用する、という言辞は必ずしも正しいわけではなく、物語は常に両義的な色彩を帯びるのだから、いつまでも物語は利用されるのと同時に、物語で反逆する機会をうかがっているかもしれない。

 

■結論の吟味

この物語をパロディとしてみたり、中世のロマンスの雰囲気を映し出す著作と見たほうが適当かもしれないし、もしくはそうでないかもしれない。ギリシア正教がたどった道が、そのようなものだったとしてもそこにいつも物語が介在し、私たちはその物語に近寄ったり離れたり、毒を受けたり蜜をなめたりする。宗教と物語というジャンルにおいて、深く探究してみたいと考え、貴学への入学を希望する。

 

※1三浦清美「伴狂者アンドレイ伝――翻訳と解題」『早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌』7 2019

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