2020年 上智大学外国人入学試験 外国語学部・ドイツ語学科 小論文 解答例

議論の整理(問1)

この文章では、日本で識字運動が展開される過程で、漢字廃止論が議論されてこなかったことが問題提起されている。老齢者や外国人など非識字者が日本語を学習するときに直面するのが漢字の難しさである。もしも漢字がなければ、もっと簡単に日本語が習得できる。それにもかかわらず、識字運動では漢字の廃止が排除されてきた。これは、漢字の運用能力をまっとうな大人の条件とする社会における、無意識の同化主義のあらわれであると筆者は指摘している。(210文字)

問題発見(問2)

識字運動に内包されている問題にて、同化主義に陥らないような対処法はあるのだろうか。

論証

私たちは、小学校のときから膨大な量の漢字を習う。しかし、実生活のなかで使う機会がとても少ない漢字もある。現在、高度な漢字の読み書き能力は、実生活で使うためではなく、教養のひとつ、さらにはテストのための知識として位置づけられている。非識字者は、教養のためでもテストのためでもなく、実際に活用したいからこそ読み書きを学んでいる。そこで私は、識字者・非識字者であるかは関係なく、漢字そのもの学習方法を根本的に変えることが、同化主義に陥らないための方法であると考えた。

現在の漢字の学習内容は、実情に即しているとは限らない。日常生活のなかで必要とされる漢字は刻々と変化する。昔はよく使われていたものの、今では見かけることがほとんどない漢字も、学習内容に含まれていることも多い。そこでまずは、どのような漢字が実生活において必要なのかリストアップする作業が必要となる。漢字を直ちに廃止するのではなく、漢字の学習内容や教授方法を改めることが先決である。

結論

このような見直しは、現在の識字者の標準ではなく、新しく作った標準に全員が合わせることを意味する。その結果、識字者を中心化する差別的な状況が解消されていくと考える。

吟味

日本の高い識字率を踏まえると、識字者・非識字者という区分そのものが消えていくかもしれない。そのため、識字教育の問題をどのように伝えていくのかも、今後の課題となるだろう。(638文字)

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