議論の整理……
私は、AIの力を借りてものごとの隅々まで配慮すること自体はすばらしい取り組みであると思う。人間の力だけで同じことをしようとすると、マンパワーが足りなかったり、先入観やケアレスミスが出てきたりと、理想通りにできないことも多くなる。そのため現代社会のニーズにあわせて、必要なところでAIの力を借りることは、これからも検討していったほうがいいだろう。
問題発見……
しかしながら「プライバシーのあり方」という問題が加わると、AIの力を借りることが必ずしもベストの選択ではない。
論証……
AIは、人間ではないので、他人には知られたくないプライバシーを守ってくれるように思われる。だが実際は、私たちのプライバシーは余計に守られなくなるのではないだろうか。なぜなら、AIが出した結果の責任を負うのは表向きAIとなる。つまり、プライバシーに関与する活動をしながら、その責任を負う人の顔がまったく見えなくなってしまうのだ。
結論……
そこで私は、現代社会におけるプライバシーに配慮するために、AIの導入に適した分野と適さない分野を明確にするべきであると思う。何から何までAIを導入できるようにすると、責任の所在があいまいであることを利用して、不当にプライバシーに立ち入るケースが増えるからだ。少なくとも、人間が責任を負えるものについてはAIを導入できるなど、ある程度の線引きが必要となるだろう。
吟味……
また、会社などの組織でAIを取り入れるときは、社員がプライバシーをさらすことを「受け入れる」「受け入れない」など、選択できるようにするべきである。AIは人工知能であると言っても、それをさらすことにストレスを感じ、心身に不調をきたすことがないとは言えない。人間ではなく人工知能に管理されるほうが、生きたコミュニケーションがとれない分、不安感が増してしまう。AIを取り入れるメリットとデメリットを明確にしたうえで、それを活用するかしないかは当事者にゆだねる。そのような選択権を与えないと、私たちは自分らしさを失ってしまうかもしれない。(823文字)
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