2019年 上智大学外国人入学試験 外国語学部・フランス語学科 小論文 解答例

問3

議論の整理……

近年の日本では、大学の授業がすべて英語化されるなど、英語だけを話せればいいという考え方が広まっている。そのため英語が苦手だからと、それだけで自信を失ってしまう人も多い。たしかにグローバル企業や、海外の企業で働こうとする場合、英語力が求められることは事実である。グローバル企業では、さまざまな国の社員が集まるため、英語を共通言語化することで、スムーズにコミュニケーションがとれることは確かであろう。私は、英語に特化してトレーニングすること自体は、決して悪いことではないと思っている。

この論文の筆者は、多数派の言語を自在に操れるようになれば、行き過ぎた階層社会を是正できると述べている。フランスには、主流と言われるもの以外も、狭いコニュニティーのなかだけで使われているマイナー言語が存在している。それを使うくらいなら、主流のフランス語を美しく操れるようになったほうが、階級に縛られずに上に行けるというのが筆者の立場である。

問題発見……

この考えを英語に置きかえてみると、日本人がグローバル化する世界で勝ち抜くためには、英語ができなければならないということになる。

論証……

確かに、少数派の言語を話せても、それをビジネスの世界で使うことはほとんどない。多数派の言語が使えることで、大企業に就職する、大きなビジネスを成功させるなど、階層を越えて成功できる可能性はある。

単一言語主義は、ある人にはチャンスとなり、階層を越えて大きな成功をつかみ取るきっかけになる。しかしながら、多くの人は不当に低く評価されチャンスを失う。たとえば、英語が苦手な人は、それが評価のすべてになってしまう。多彩な能力があっても、英語が話せないというだけで「何もできない」と同じにされてしまう。

結論……

複数言語主義をとれば、「英語は母語ではない」という前提が生まれる。そのため、言語能力に終わらず、もっと多様で柔軟な評価ができる。

吟味……

それが結果として、豊かな人間関係の構築と、それによるイノベーションにつながるだろう。(823文字)

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