設問
1.あなたが育った国や地域における「社会問題」について論じなさい。そのうえで、社会保障および社会福祉がどのように取り組もうとしているのかを説明しなさい。(字数制限なし)
議論の整理→ドイツに多数居住する移民
ドイツは1970年代から労働力としてトルコやイタリア、東欧などから移民を受け入れており、国民の約25%が移民背景を持っているといわれている。現在は移民の第3、第4世代がドイツで生活しており、「ドイツ人」という定義が難しくなってきている状態にある。
問題発見→移民との共生の課題は?
そのようなドイツでは、移民との共生についてどのような問題が生じているのだろうか。
論証→ゲットー化する移民
移民との共生について最も問題視されているのが、一部の移民がドイツ社会に溶け込まないことによる「ゲットー化」である。これは、ドイツ語が話せない移民が同じ民族で集団として固まり、一部の地域に居住し、ドイツ社会とのつながりを持たずに生活している様子を指す。これにより、移民の子どもの中にはドイツ語も母国語も満足に話せず、学校教育についていけず、結果として収入の低い仕事にしかつけず貧困に陥る、という状況が発生している。
解決策or結論→移民を社会に受け入れる機関と政策の実施
これに対し、ドイツ政府は移民局を設置するとともに、各州での移民への無償のドイツ語教育の実施や就労支援を積極的に行っている。
解決策or結論の吟味→結論を吟味する
一方で、2015年に難民を大量に受け入れたことで、ドイツではさらに移民・難民への対応を求められることになった。社会保障や社会福祉により、移民や難民を排除するのでなく、社会に受け入れる政策が模索され続けている状況である。(532字)
2.あなたが育った国や地域における「福祉ボランティア活動」を説明し、それについてのあなたの考えを述べなさい。(字数制限なし)
議論の整理→ドイツのボランティア制度
ドイツのノルトラインヴェストファーレン州では、若者が医療機関などで一定期間、ボランティア活動をすることが推奨されている。
問題発見→制度の意義と課題は何か?
この制度の意義と課題は何であろうか。
論証→医療機関でのボランティア活動
この制度は高校を卒業した若者が利用することが多いので、若者が自らの適正を試す機会として使っている。ドイツは日本と違い、大学で学ぶ内容がその後の職業に影響することが多いため、大学での選考を決める前に、自分がどのようなことに向いているのかを探る機会は貴重である。そしてさらに、ボランティア活動を通じて、高校を卒業した若者は様々な人間と出会うことで刺激を受ける。医療施設には高齢者、子ども、移民といった人々が多数来るので、彼らとの対話を通じて、自分とは異質の他者の存在を知ることができるのである。
一方で課題としては、この制度をモラトリアム期間として利用する若者も多く存在することが挙げられる。進学もせず、就労もせず、アルバイト的な感覚でボランティア活動を続ける若者が一定数いることで、社会コストがかかってしまうことが批判されている。
解決策or結論→モラトリアムとして利用されることもあるが、若者が他者と出会う機会
この制度には一長一短あるが、若者が社会で他者と触れ合うはじめの一歩としては、有効であると考える。
解決策or結論の吟味→結論を吟味する
また若者のボランティア活動により、高齢者や難民、移民といった人々も、ドイツ社会との接点を得ることができるため、この制度には一定の評価を与えてよいのではないか。(568字)
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