上智大学 神学部 特別入試 志望理由書 提出例(小山英之ゼミ向け)

■ 議論の整理
子ども、女性、貧困層、野宿者、難民を含む外国人等、日本における様々な人道支援策にキリスト教会やそのスピリチュアリティが大きく寄与してきたことは言うまでもない。私自身も、教会の活動を通じて、社会的問題への関心を深めてきた。

■ 問題発見
近代化の過程で支援者の世俗化、専門職化が進み、様々な受け皿が制度化された現代社会において、支援の間口は広がったが、他方で支援者自が目的を見失い、バーンアウトやサービスの利用者に対する虐待といった問題も深刻化している。
そのような時代において、私はキリスト教的人間観と思想から社会福祉や人道支援、ソーシャルワークなどを問い直すことに関心がある。

■ 論証
神学者二ーバーの『ソーシャルワークを支える宗教の視点』を整理した深谷は、1)召命観、2)障害者など差別されがちな人々への共感、3)人間に対する悲観主義を乗り越えた「宗教的楽観主義」、4)営利的な動機を凌駕する職業的な動機の4点を重視している※。そこで最も重視されているのは「共感」であり専門職自身もスピリチュアルな動機づけに基づく個人的な召命観が必要であり、個人的にスピリチュアルな自己探求に開かれていることが重要であるとされている。
支援者自身が常に自分自身の動機や目的をスピリチュアルな観点から問い直す視点を持つことは、支援やサービスを受ける側のスピリチュアリティの配慮につながることはもちろんのこと、今日の支援者のバーンアウトや虐待といった問題にも一筋の光を当てるのではないだろうか。

■ 結論
進学後は、難民支援等の人道支援に携わりながら、キリスト教的人間学の観点からそのスピリチュアルな意味を学び、宗教を超えてより多くの支援者と共有していけるよう、探求を深めたいと考えている。

■ 結論の吟味
この問題意識を深めていくにあたり、私は上智大学の神学部に進学し、神学者としても実践者としてもキリスト人間学の立場から人道支援に携わってきた小山英之教授のゼミに入会することを強く希望する。

※深谷美枝. (2018). 社会福祉実践の現状におけるキリスト教スピリチュアリティの機能:「障害福祉ソーシャルワーカーの語り」 より. 宗教と社会貢献, 8(1), 25-53.

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