上智大学 法学部 特別入試 志望理由書 提出例(岡部みどりゼミ向け)

■ 議論の整理

2015年のいわゆる「欧州難民危機」では、爆発的に増加した難民・移民の流入によって、EUの通行の自由を定めたシェンゲン条約や、難民の認定に関わるダブリン協定では対処しきれない事態が続き、欧州委員会は域内における統一的な難民対応策を提示することとなった。

■ 問題発見

ダブリン協定では最初に難民が入国したEU加盟国に大きな負担がのしかかるため、EUはイタリアやギリシアなどの特定国に集中した難民の受け入れ責任を分担・共有しようとしてきた。その範囲はEU規範が及ぶ加盟国にとどまらず、加盟候補国や加盟希望国、その他の移民の送り出し国や経由国にまで及ぶ。この対応についての見解は様々で、強制割り当てであるとする見方、EUを頂点としたヒエラルキー秩序の形成・深化であるという見方もある。

これに対して岡部は、その可能性を否定はできないものの、加盟国候補側には交渉の自由がないわけではなく、実際に形成されつつあるEUと域外世界のネットワークはより弾力的、より緩やかな統合体へと変質しつつつあるとする※。

■ 論証

難民受け入れに対する温度差や受け入れ経験の有無、EUへの接近に利益を示すか示さないかによっても交渉の成果は分かれ、現状ではEUの試みは行き詰まっている。また、この施策は難民の域内での生活を担保するものではなく、域内の統一的見解もできていない。しかし、EUが「グローバル規範の実践者※」であるべく行動しようとしてきた点を評価しつつ、国際秩序の在り方を考えていく上で、今後の動向を見守り、成果と課題を整理していく必要があるだろう。

■ 結論

また、EUをはじめとする国際社会の国々の出入国管理において、迅速で人道的な難民受け入れ体制の不備が共通認識された。国際法学の役割として、その課題を克服するために、グローバルガバナンスに関わる様々な概念を見直す作業が必要となるだろう。

■ 結論の吟味

上記の問題意識を深めるために、人の国際移動やグローバルガバナンス研究分野で実績がある岡部みどり教授のゼミに入会することを強く希望する。

 

※岡部みどり(2017) 「EU による広域地域の形成とその限界ー対外政策としての出入国管理ー」 『日本 EU 学会年報』第37号、 pp. 49₋68

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