■ 議論の整理・・・
現代の私たちの暮らしは,少子高齢化などの社会構造や環境の変化,住民の地域社会への帰属意識の希薄化などにより,地域住民同士の交流の機会が減少している。かつて地域における不審者のチェック,子どもたちに対する非行防止やしつけ等といった,地域社会が担っていた役割も希薄になっている。また若者は,インターネットやSNSの世界でのみ本音を語り,友だちや身近な人とも”空気を読んだ”巧み,かつ短い言葉でのみ意思の疎通を行い,万人が理解できるような文章で自分の意志を主張をすることが苦手な子供が少なくない。学校や社会では,このような言葉足らずのコミュニケーションがトラブルの原因となっている。コミュニケーション能力の低下は,良好な人間関係を築く能力の低下とも言える。
■ 問題発見・・・
では,どうすればコミュニケーション能力の低下は防げるのか。
■ 論証・・・
コミュニケーション能力は,環境や周りの働きかけによって後天的にも伸びる能力と言われている。子供に関して言えば,親子の会話の中で言葉のキャッチボールができるよう心がけるとともに,親は聞き役として子供が長く話すような問いかけを次々と繰り出す。また,同年代ばかりでなく親以外の大人や年齢の違う子供たちとも触れ合えるようなイベントに参加させるなど,地域のコミュニケーションの場に子供たちを出すよう仕向けることも重要であろう。
■ 結論・・・
そこで私は,子供のコミュニケーション能力を鍛える場や世代を超えたコミュニケーションを試す空間をその地域や環境に適合する形で提案し,人と人との対話や関わりが暮らしにどう影響していくかを研究したいと考えている。
■ 結論の吟味・・・
SFCでは,実践的で能動的なプロジェクトへの参加を主体としたカリキュラムを実践しており,私の研究に最適な環境が整っている。また,貴学環境情報学部の加藤文俊教授は,コミュニケーションという観点から「場」というコンセプトについて考える研究として,実際にフィールドにでかけてカレーキャラバン(*1)など食のプロジェクトを計画・実行し,コミュニケーションデザインの有効性を実地検証する研究を行っていることを知り,加藤文俊教授に師事することで,私の研究をより精緻なものにしたいと考えた。故に,私はSFCへの入学,および加藤文俊研究会への入会を強く希望する。
(*1) 加藤文俊.“カレーキャラバン”. < https://curry-caravan.net/about.html >
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