慶應義塾大学 法学部政治学科 FIT入試 志望理由書 提出例(出岡 直也研究会向け)

■議論の整理論

1990年代から大きな関心を集めている運動現象として、「オルタナティヴ通貨」「コミュニティー通貨」「補完通貨」「地域通貨」など様々な呼称で呼ばれるものがある。日本では一時期の、ブームと呼べるほどの関心は去ったが、実際の動きは各地で根付いている。

オルタナティヴな経済・社会体制を構想する人々が重視する点として、理想社会を目指す運動の中で、かつ、それが到達する理想状態の中で、この通貨が中心的な役割を果たすことが期待されている。また、通貨に関する根源的な考察の中では、現行の貨幣のシステムが基づく原理とは対照的な原理として位置づけられている。

大きな社会変革を志向するオルタナティヴ通貨であるが、それは他のセルフヘルプ型の諸運動と比べて、運動の拡大によって社会全体の オルタナティヴとなりうる性格を持っている。

オルタナティヴ通貨運動のような運動を「米国流」社会運動の枠組が分析対象に含める際、それをプロテスト型と同じタイプの運動であると概念化することには大きな問題がある。つまり、「米国流」社会運動研究が、典型的な社会運動として想定した諸命題をそのまま用いると、オルタナティヴ通貨運動の分析が非常に困難となる課題がある(*1)。

 

■問題発見

ここで,オルタナティヴ通貨運動を社会運動の中でどのように捉えるかに対する課題について改めて考えてみたい。

 

■論証

オルタナティヴ通貨が運動としてどのようなダイナミズムを持っているかについて、最も基本的なところでは、人々が、財やサービスの、法定通貨を用いない交換を制度化された形で行う集合行為であると言える。しかし、各国の法定通貨が利子を持つ形で運用されているのに対し、当該オルタナティヴ通貨を用いる人々(コミュニティー)の間での財・サービスの交換のためのみの機能を持つため、 (貯蓄することで利子が得られない通貨が用いられている。

一方で、そうした直接の機能・目的に留まらないものをオルタナティヴ通貨運動は持っている。「社会変革・変容」を志向する集合行為であり、それが「対立」を伴う形で行われることである。つまり、オルタナティヴ通貨運動が、大きな社会変革を最終点に置く指向性を持つと同時に、社会の他の主体の変化を直接に求めるような働きかけよりも、メンバー聞の相互利益賦与関係を直接的な活動とする運動である。したがって、その特徴として、資本主義経済を持つ広い社会の中に留まりつつ、生活の一部で異なる経済活動を行っている点が挙げられる。

そして、その運動の分析には、二重性という性格から直接に生じるダイナミクスを、重視する枠組が重要である。同時に、社会運動研究の蓄積がオルタナティヴ通貨運動の分析で重要な役割を果たすことも明らかである。そうした拡大のダイナミズムについて、代替通過運動の持つ二重性も重要である。それは、人々が社会運動に参加していく過程においても、二つの論理が存在することが予想される。 その二重性と「階級」との関係も、重要なテ―マである。

したがって、今後オルタナティヴ通貨運動を分析する際に、この運動が持つ二重性の視点からオルタナティヴ通貨運動が社会に与える影響を検討すべきである(*1)。

 

■結論

そこで,オルタナティヴ通貨運動の二重性に着目した分析のフレームワークを考案し、日本国内にオルタナティヴ通貨導入する際の効果的な活用につながる方法論について研究したいと考えている。

 

■結論の吟味

上述の研究を遂行するため,貴学法学部政治学科に入学し,現代ラテン・アメリカ政治論やラテン・アメリカ政治史を専門に研究している出岡直也教授の研究会に入会することを強く希望する。

 

※1出岡直也(2010)「オルタナティヴ通貨はどのような『社会運動』なのか」法學研究 : 法律・政治・社会 (Journal of law, politics, and sociology). Vol.83, No.3 (2010. 3) ,p.131- 165

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