慶應義塾大学 法学部法律学科 FIT入試 志望理由書 提出例(西川 理恵子研究会向け)

■議論の整理論

一般的に、理想的な民主主義が実現されている状態とは、個の自由が確立されていると同時に全体の調和が取れていることであろう。すなわち、その集団に属するものの 意思が捻じ曲げられることなく、その集団の運営に反映され、かつ、その集団構成員の自由意志及び、自由行動 が集団によって、制約されることがない状態である。

すなわち、その社会のメンバーは、他の集団構成員に負担 をかけない限り、個の欲求と意思を満たしながら自由に行動することができ、また、同時にその社会の運営に参 加し、貢献しうる、と言うことになろうか。さらに、個々の構成員の行動は、集団による強制を受けてはならない。そして、国家またはその者の属する集団の意思も又、その構成員の意志に反することがあってはならない。 そして、そのような行動様式が、部分社会であれ、全体社会であれ、社会のどの部分をとっても実現されている。 それが、理想的に民主主義が運営されている状況だ、と言えよう。そして、それを実現するための機構となるの が、ルールであり、法である。すなわち、団体としての社会を運営するためには、その運営のためのルールが必要である。

言い換えれば、法は、そのような社会 を構成するための枠組みといえるだろう。 現時点において、このような状態は、いかなる国家においても、また集団においても実現されてはいない。なぜなら、どうしても、この制度は、少数者の意思を切り捨ててしまう結果を招くことが多いからである。その中で、民主制を推し進め、実現するために、法が果たしてきた役割は、少なくない。法もまた、その中で、さまざまな変容を遂げ、発展してきたことも否定はできない (*1)。

 

■問題発見

ここで民主主義を実現するために法が果たした役割に関する課題について改めて考えてみたい。

 

■論証

国民のコンセンサスの上に国家が運営されること、そしてその国家は、国民が自らの権利と幸せを確保するために作り上げたものであること、それが、民主制の本質である。そのあり方、また、コンセンサスの得方は、千差万別であってよいし、アメリカ型の価値基準がすべてではないだろう。そこで保障される権利についても、 結局は、そこに住む者たちが合理的と考える形で落ち着かせるべきである。

ただ、その体制を守るためには、そこに所属するメンバーの不断の努力が必要である。代表民主制を採用するならば、選挙権を持つものが、必ず、それを行使し、かつ、その行使を自己の意思表明として真剣に捉えなければならない。それを怠れば、白票に乗って、多数の支持を得たという仮面をかぶった、政権を産むことになるし、 たとえ、法的に、国民の権利を守る制度が存在していたとしても、それを実効的に運用することが難しくなる。

現在のところ、最大多数の最大幸福を実現するためのよりよいシステムは、民主主義しかないであろうが、それを実効的に運営するためには、そこに属するメンバーに対する自分の持つ権利と権限についての不断の教育が 必要なような気がする。

このように考えると、法の本質は、政府や体制を超えて、正義と妥当性を社会にもたらす価値基盤、いわゆる自然法の理念に求められることになる。その必然の帰結として、立法権は、国民会議に付与される。すなわち、 国民会議がその構成員の合意を形成する機関、だからである。そして、それが、その法に縛られるものからの同 意を得る場だとすれば、それは、その拘束され、また、拘束するもの双方の代表によって、造られなければなら ないため、法と民主主義の関係性について今後とも検討すべきである(*1)。

 

■結論

そこで現在の民主主義制度の研究を通じて、我が国における法と民主主義の役割について研究したいと考えている。

 

■結論の吟味

上述の研究を遂行するため,貴学法学部法律学科に入学し,英米法や国際取引法、国際私法を専門に研究している西川理恵子教授の研究会に入会することを強く希望する。

 

※1西川理恵子(2004)「民主主義と法」法學研究 : 法律・政治・社会 (Journal of law, politics, and sociology). Vol.77, No.12 (2004. 12) ,p.221- 242

 

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