■議論の整理・・・
コーポレート・ガバナンスとは、企業が健全に経営を行っているのか監視する制度のことである。これは株主の利益を守るだけではなく、企業価値を高める役割も果たしている。コーポレート・ガバナンスを推進するために、各企業は価値観や理念を明文化することが一般化的である。企業の価値観や理念は、社内のコンプライアンスや法の順守する意識を高める効果がある。価値観や理念は、世界共通のものではなく、各国の歴史や風土が多く影響している。そこでコーポレート・ガバナンスの考え方をそのまま適応させると、企業内でさまざまな衝突や違和感が生じる。
■問題発見・・・
コーポレート・ガバナンスの基本はアメリカの考え方に基づいている。そこで、日米の企業統治の歴史を比較しながら、コーポレート・ガバナンスの方向性の共通点・相違点を明らかにする必要があるのではないか。
■論証・・・
論文※1によると、アメリカでは、トップダウンの意思決定が一般的である。それゆえ株主をトップに据えるモデルが適している。一方、ドイツや日本の場合、企業内の協力関係が重視される。そのため、双方の利害関係を重視するステークホルダーモデルのほうが馴染みやすい。論文※1のこの指摘を踏まえると、世界のすべての国がアメリカ型なのではなく、自国の文化や風土に合ったコーポレート・ガバナンスを適用しているケースもある。
■結論・・・
そこで、日本と価値観や理念が近い国はどこかを考え、モデルケースとして研究する手法が有効であると考えた。特に私は、日本の法制度に大きな影響を与えたイギリスやドイツが、モデルとして近いと考えている。
■結論の吟味・・・
そこで、戦前からの国際的な影響力のなか、日本のコーポレート・ガバナンスが形成される歴史を研究している宮島英昭ゼミに所属することを希望する。
論文※1宮島英昭、広田真一(2004)「21世紀のコーポレート・ガバナンスと法システムの創造 ―文化、伝統、慣習からみた望ましい日本的企業社会の考察―」『季刊 企業と法創造』
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