■ 議論の整理
私がアジアの貧困問題に関心を持ったのは、日本在住のフィリピン人女性の講演を聞いたことがきっかけである。国際結婚を機に日本に移住した彼女は、同胞の移住女性の支援に関わる一方で、フィリピン本国の女性支援も同時並行で行っている。その支援の内容は、教育、貧困、労働環境の改善交渉、リプロダクティブヘルス、雇用創出のための事業の立ち上げなど多岐に渡っている。
■ 問題発見
日本の経済を下支えしてきたフィリピン女性たちの背景にある貧困その他の社会・経済的問題があることを改めて意識し、グローバリゼーションと貧困を生み出す構造についてもっと学びたいと考えた。しかし、なぜグローバルな分業体制のもと、貧困問題は解決せず、格差が固定化されるのか。
■ 論証
下川教授は経済学とグローバリゼーションの関係について解説する中で、その一端として財市場、資本市場の自由化を推進しながら、労働市場だけは規制化の方向に進める国際社会と先進国の矛盾を指摘する※1。また、ローカルな社会がグローバル社会で生き抜き、強化されていくためには、コミュニティ基盤と主体性を回復が鍵であり、そのためにはローカルに人が根付くことが重要であるという※2。前述のフィリピン女性が本国の女性支援に力を入れる理由もここにあると実感し、経済学の分野からグローバリゼーションの問題を扱っていきたいと考えた。
■ 結論
具体的には、経済学がグローバル化と貧困の問題をどのように扱ってきたかを理論的に学ぶとともに、アジアの都市部や農村部に根付いて貧困からの脱出を目指す現地プロジェクトに参加し、彼らの実践から問題解決のヒントを学びたいと考えている。
■ 結論の吟味
上述の研究目的を追求していくために、国内外を問わず経済学と現場を行き来しながら貧困問題に取り組んできた貴学の下川雅嗣教授のゼミに入会し、その研究姿勢や知識に学ぶことを強く希望する。
※1下川雅嗣(2007) 「経済学から見たグローバリゼーション」 COSMPOLIS No.1
※2下川雅嗣他(2009) 『貧困・開発・紛争-グローバル/ローカルの相互作用 地域立脚型グローバル・ スタディーズ叢書3』SUP上智大学出版
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