山梨県立大学 人間福祉学部 学校推薦型選抜 2025年度 小論文過去問解説(福祉専門職とAI活用)
設問文
現在,社会全般において,AI(人工知能)の活用が広がっている。これまで人間にしか対応できないと思われていたことがAIに取って代わられるという未来も見え始めている。そこで,あなたの目指す専門職の立場に立って,どのようにAIの活用をすすめたらよいか,800字以内で述べなさい。
課題文の要点
設問は,AIの活用が広がり,人間にしかできないと思われていた仕事もAIに置き換えられる可能性があるという状況を前提としている。そのうえで,受験者が目指す専門職の立場から,AIをどのように活用すべきかを論じることが求められている。人間福祉学部の問題であるため,福祉・保育・対人援助などの専門職を想定し,人間の尊厳や個別性とAI活用の関係を考える必要がある。
解説
設問条件の判定
- 制限字数: 800字以内
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 目指す専門職の立場を明らかにし,AI活用の進め方について800字以内で自分の考えを論じる問題であるため。
解答プロセス
- STEP1 要件確認: AI活用が広がる社会状況と,福祉専門職を目指す立場を整理する。
- STEP2 問題設定: AIに任せるべき部分と人間が担うべき部分を区別しなければならないという問題を設定する。
- STEP3 論証: 記録整理や情報検索にはAIが有効だが,利用者の思いを受け止める判断は人間に残ることを示す。
- STEP4 解決策: 福祉現場での具体的な活用方法を示す。
- STEP5 吟味: プライバシーや偏見の危険を確認し,最終的な方針をまとめる。
解答
私は将来,福祉の専門職として,人が安心して生活できる環境づくりに関わりたい。その立場から考えると,AIは人間の仕事を奪うものとして恐れるだけでなく,支援の質を高める道具として活用すべきである。ただし,福祉の仕事では,効率化だけを目的にAIを導入してはならない。利用者の尊厳や個別性を守り,使う範囲を慎重に決める必要がある。
福祉の現場で重要なのは,支援を必要とする人の生活全体を理解することである。AIは大量の情報を整理したり,制度を検索したり,記録を要約したりすることに優れている。一方で,利用者が言葉にしにくい不安,家族との関係,孤独感,自分らしく生きたいという願いを受け止めるには,人間の対話と観察が欠かせない。したがって,AIに判断を任せるのではなく,専門職が判断するための補助として使うべきである。
たとえば,生活困窮者の相談では,AIを使って利用できる制度や地域資源を短時間で整理できる。高齢者支援では,記録から体調変化や支援頻度の変化を見つけ,早めの対応につなげられる。児童福祉では,面談記録や関係機関の情報を整理し,支援会議の準備を効率化できる。こうした活用により,専門職は事務作業に追われる時間を減らし,利用者と向き合う時間を増やせる。
しかし,AIの活用には危険もある。個人情報の扱いを誤れば,利用者の信頼を失う。また,過去のデータに偏りがあれば,支援が必要な人を見落とす可能性もある。そのため,AIを使う際には,入力情報を最小限にし,結果をそのまま受け入れず,専門職が責任をもって確認する仕組みが必要である。
AIは,福祉専門職の代わりになる存在ではなく,人間らしい支援を支える道具である。私は,AIに任せられる作業は任せながら,最後には利用者の声を聴き,状況を見て,その人に合った支援を考える専門職でありたい。AIの活用は,人間が人間に向き合う時間を取り戻す方向で進めるべきである。
字数カウント: 799字



コメントを残す