ここでは、大妻女子大学大学院人間文化研究科現代社会研究専攻臨床社会学専修の2026年度修士課程一般選抜II期小論文について、社会圏とジェンダー論における性の構築性を扱う解答例を示します。
【小論文】
【解説】
■ 設問文
2問に解答し、それぞれ500字程度で記述する設問である。解答例では問1で社会圏、問2で性の構築性を扱う。
■ 設問条件の判定
2問に解答し、それぞれ500字程度で記述する設問である。解答例では問1で社会圏、問2で性の構築性を扱う。
■ 解答プロセス
STEP1 議論の整理:問1は社会学概念、問2はジェンダー論の代表的議論を整理する。
STEP2 問題発見:概念の定義だけでなく、社会学史上の意義や自分の研究視点まで述べる必要があると設定する。
STEP3 論証:ジンメル、ボーヴォワール、バトラーの議論を軸に説明する。
STEP4 解決策・結論:現代社会の個人化、多元的所属、性別役割の再生産への分析へ接続する。
STEP5 吟味:各問が500字程度に収まり、設問番号ごとの要求に直接答えているか確認する。
【解答例】
問1
私は社会圏を選ぶ。社会圏とは、家族や地域共同体のような親密な関係と、国家や市場のような大規模な制度の中間にある、人々の結びつきの範囲を指す概念である。代表的にはジンメルの議論が重要である。近代社会では、個人は一つの共同体に全面的に所属するのではなく、職場、趣味、宗教、政治活動、友人関係など複数の社会圏に部分的に参加する。このことは、個人を伝統的共同体の拘束から自由にする一方、関係の断片化や孤立も生み出す。社会圏の概念の意義は、個人と社会を二分せず、個人が複数の関係の交差点として形成されることを説明できる点にある。また、社会圏が重なり合うほど、個人は一つの集団の価値観だけに従わずにすむ。たとえば家庭では子ども、職場では専門職、地域では住民、オンラインでは趣味の仲間として振る舞うように、人は場面ごとに異なる役割を持つ。この多重所属は、近代的個人の自由を支える。現代では、SNSやオンラインコミュニティも社会圏を広げるが、同質的な人だけで閉じる危険もある。したがって社会圏は、近代以降の個人化、都市化、多元的所属を理解するための重要な概念である。
字数カウント:475字
問2
ジェンダー論における性の構築性とは、男性らしさや女性らしさが生物学的性差から自然に決まるのではなく、社会制度、文化、教育、言語、メディアを通じて作られるという考え方である。代表的にはシモーヌ・ド・ボーヴォワールの「女は女に生まれるのではなく、女になる」という議論や、ジュディス・バトラーのパフォーマティヴィティ論が挙げられる。バトラーは、ジェンダーが内面の本質の表現ではなく、反復される行為や言説によって自然なもののように見えると論じた。この視点は、性別役割を個人の適性として固定する見方を批判する。たとえば服装、言葉遣い、進路選択、家事や育児の分担は、幼少期からの期待や周囲の反応を通じて学ばれる。その結果、本人の選択に見えるものにも、社会的な規範が入り込む。私の研究関心からは、学校や職場で「女性はケアに向く」「男性はリーダーに向く」といった期待が、進路選択や労働分担をどう制限するかを分析したい。また、性の構築性を考える際には、国籍、階層、障害、年齢との交差も重要である。同じ女性でも置かれた条件により経験は異なるため、単一の女性像で説明してはならない。性の構築性を論じることは、単に男女差を否定することではなく、差がどの場面で作られ、誰に利益や不利益をもたらすのかを明らかにする作業である。
字数カウント:549字
【小論文以外】
該当する小論文以外の設問はありません。
出典:大妻女子大学大学院 人間文化研究科現代社会研究専攻臨床社会学専修 修士課程一般選抜II期 2026年 小論文 公式PDFをもとに作成。


