大分大学 医学部看護学科 前期 2025年 小論文過去問解説(社会的多様性)
問1【設問文】
問1 この文章には、著者である母に、息子が語った同級生の男の子との間で起こったエピソードが描かれている。この文章の見出しにある〔言葉はそれを溶かす〕について300字以内(句読点を含む)でまとめなさい。
問1【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 300字以内
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 課題文の見出し『言葉はそれを溶かす』の意味を、本文内容に沿って説明する問題であるため。
設問文・課題文の整理
課題文では、社会的多様性をめぐる違和感や不安が、相手を知らないまま固定的な分類で見てしまうことから強まる一方、言葉を交わすことで相手の経験や背景が見え、硬い境界がほどけるという趣旨が述べられている。問1は、見出し『言葉はそれを溶かす』の意味を300字以内で説明する問題である。
解答プロセス
5STEPに当てはめた書き方
STEP1 議論の整理
多様性への抵抗は、相手を抽象的な属性だけで見ることから生じると整理する。
設問要件対応: 課題文の主題を把握する。
STEP2 問題発見
言葉が何を溶かすのかを明確にする。
設問要件対応: 見出しの意味を説明する。
STEP3 論証
対話により、偏見・不安・境界意識が弱まると説明する。
設問要件対応: 本文趣旨に沿う。
STEP4 結論
言葉は相互理解の入口だとまとめる。
設問要件対応: 300字以内で答える。
STEP5 吟味
単なる会話礼賛ではなく、相手の経験を聞く姿勢が必要だと確認する。
設問要件対応: 説明を浅くしない。
問1【解答】
『言葉はそれを溶かす』とは、多様な他者に対して抱く不安や偏見、固定的な境界意識が、対話によって和らぐという意味である。人は相手を知らないと、性別、国籍、障害、価値観などの属性だけで判断し、自分とは違う存在として遠ざけやすい。しかし、相手の経験や思いを言葉を通して知ると、その人を一つの分類ではなく具体的な個人として理解できる。したがって、言葉は差異を消すのではなく、差異を抱えたまま共に生きるための硬さを溶かす働きをもつ。
字数カウント: 211字
問2【設問文】
問2 現代の社会は、社会的多様性を認め、受け入れ、尊重することが求められていますが、著者の意見を踏まえ、あなたが考える社会的多様性に対する理解と対応力について600字以内(句読点を含む)で論じなさい。
問2【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 600字以内
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 筆者の意見を踏まえ、社会的多様性への理解と対応力について自分の考えを論じる問題であるため。
設問文・課題文の整理
問2は、筆者の意見を踏まえて、社会的多様性に対する理解と対応力について600字以内で論じる問題である。課題文の中心は、相手を属性だけで捉えず、言葉を通じて具体的な経験を理解することにある。
解答プロセス
5STEPに当てはめた書き方
STEP1 議論の整理
多様性理解は、違いをなくすことではなく、違いの背景を知ることだと整理する。
設問要件対応: 筆者の意見を踏まえる。
STEP2 問題発見
理解にとどまらず、看護場面でどう対応するかを問う。
設問要件対応: 理解と対応力の両方に答える。
STEP3 論証
対話、観察、制度的配慮、チーム共有を根拠にする。
設問要件対応: 社会的多様性への具体的対応を示す。
STEP4 結論
個別性を尊重する看護実践を主張する。
設問要件対応: 自分の考えを明示する。
STEP5 吟味
配慮が決めつけにならないよう、本人確認を重視する。
設問要件対応: 対応力の限界と注意を入れる。
問2【解答】
社会的多様性を理解するとは、違いを特別扱いとして眺めることではなく、その人がどのような経験や困難を抱えているかを具体的に知ることである。筆者が示すように、言葉を交わすことで、属性だけでは見えない個人の背景が見えてくる。
問題は、理解を心がけるだけでは、実際の支援につながらない点である。看護の場では、患者の国籍、宗教、家族関係、障害、性自認、経済状況などが、治療説明の理解や療養生活に影響する。したがって、相手を『普通』に合わせるのではなく、何が負担になっているかを聞く必要がある。
対応力として第一に必要なのは、決めつけずに質問する力である。たとえば食事制限や家族への説明方法も、見た目や名前で判断せず、本人の希望を確認する。第二に、得た情報をチームで共有し、通訳、環境調整、説明資料の工夫などにつなげる力が必要である。
私は、多様性への対応力とは、相手を一つの属性に閉じ込めず、医療を受けやすい条件を共に作る力だと考える。看護師は患者に最も近い立場にいるからこそ、小さな不安や沈黙を見逃さず、対話の入口を開く役割を担うべきである。
ただし、配慮も一方的になれば新たな決めつけになる。大切なのは、『この人ならこうだ』と先回りすることではなく、本人に確認しながら支援を調整することである。その姿勢が、社会的多様性を尊重する看護につながる。
字数カウント: 565字



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