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名古屋大学 法学部 前期日程 2022年度 小論文過去問解説(競争社会と評価・報酬制度)

名古屋大学 法学部 前期日程 2022年度 小論文過去問解説(競争社会と評価・報酬制度)

問1【設問文】

問1 下線部①「生存と遊戯という二つの意味で競争が人間と社会にとって重要であるにもかかわらず、競争の徹底がいくつかの危険性をはらんでいる」とはどういうことか、筆者の考えを240字以内で説明しなさい。

問1【解説】

課題文は、競争には生活資源を得るための生存上の競争と、能力を試し合う遊戯としての競争があると整理する。競争は社会を活性化する一方、勝敗や報酬の差が過度になると、不正、ゆがみ、権力争いを誘発する。

問1【解答プロセス】

  • STEP1 要件確認: 下線部の意味を、筆者の考えに即して240字以内で説明する。
  • STEP2 方針: 競争の二面性と危険性を両方入れる。
  • STEP3 構成: 競争の意義、競争徹底の弊害、結論の順でまとめる。
  • STEP4 吟味: 競争を一方的に否定しない。

問1【解答】

競争は、一方では限られた資源を得て生きるための仕組みであり、他方では人間が能力を試し、努力や工夫を促される遊戯的な営みでもある。そのため、市場や学問、スポーツなど多くの社会領域で活力を生む。しかし競争を徹底しすぎると、勝利や順位そのものが目的化し、評価や報酬の格差が過大になり、不正や権力争いを招く。つまり競争は必要だが、抑制と制度設計を欠けば社会をゆがめる、ということである。

字数カウント: 190字

問2【設問文】

問2 下線部②「現代民主主義の下では、こうした多元的評価システムを創り上げることはなかなか難しい」と筆者が考える理由を300字以内で説明しなさい。

問2【解説】

筆者は、社会が一つの尺度だけで人を評価すると、競争が過熱し、勝者と敗者の格差が固定されると考える。多元的評価システムはその弊害を和らげるが、現代民主主義では選挙や人気、数の論理が評価を単純化しやすい。

問2【解答プロセス】

  • STEP1 要件確認: 多元的評価システムが難しい理由を300字以内で説明する。
  • STEP2 方針: 民主主義の長所ではなく、筆者が指摘する困難に絞る。
  • STEP3 構成: 多元的評価の必要性、民主主義下の困難、結論。
  • STEP4 吟味: 「民主主義だから悪い」と単純化しない。

問2【解答】

多元的評価システムは、人を一つの尺度で序列化せず、政治、経済、学問、公共的貢献など複数の場で異なる価値を認める仕組みである。筆者によれば、これは競争の過熱を抑えるうえで重要である。しかし現代民主主義では、多数者の支持、人気、選挙での勝敗が大きな意味を持ち、評価が一つの分かりやすい尺度に回収されやすい。また公職や公共的貢献は、金銭的報酬や名声として十分に報われにくい。結果として、多様な価値を制度として安定させることが難しいからである。

字数カウント: 217字

問3【設問文】

問3 この文章を踏まえ、社会における競争を過度に刺激したために「ゆがみ」や不正が生じているとあなたが考える具体例を一つ取り上げながら、その競争において適正さやバランスを保つためには、どのような評価・報酬の制度を創り、どのように運用すればよいかについて、論じなさい。取り上げる具体例は、筆者が挙げているものに限りません。字数は500字以上600字以内とします。

問3【解説】

設問は、本文の競争論を踏まえ、具体例を一つ挙げ、評価・報酬制度と運用方法まで論じることを求めている。ここでは学校教育における偏差値・合格実績競争を例にする。競争自体を否定せず、複数尺度と運用の透明性を示す。

問3【解答プロセス】

  • STEP1 問題提起: 「競争を過度に刺激した具体例」を示す。
  • STEP2 原因分析: どの評価尺度がゆがみを生んでいるかを説明する。
  • STEP3 自分の立場: 競争を残しつつ、複数の評価軸に改める方針を示す。
  • STEP4 具体策: どのような評価・報酬制度を創り、どう運用するかを述べる。
  • STEP5 吟味: 本文の競争観に戻し、適正さとバランスの条件をまとめる。

問3【解答】

学校教育における偏差値や難関校合格実績の競争は、競争を過度に刺激した例である。学力向上という目的自体は正当だが、学校や塾が合格者数だけで評価されると、短期的な得点訓練、成績上位者への資源集中、本人の関心を無視した進路指導が生じやすい。

このゆがみの原因は、評価の尺度が単一で、報酬も分かりやすい順位や宣伝効果に結びつく点にある。本文がいうように、競争は人の努力を促す一方、勝つこと自体が目的化すると、不正や排除を生む。学校教育でも、点数だけを競わせれば、学ぶ意味より勝敗が前面に出る。

私は、競争をなくすのではなく、評価と報酬を多元化すべきだと考える。学力試験の結果は一つの指標として残しつつ、探究活動、協働、読解・記述力、進路選択の納得度、卒業後の学習継続などを併せて評価する制度が必要である。

具体的には、学校評価を合格実績だけで公表せず、生徒の入学時点からの伸び、支援を要する生徒への対応、探究成果の外部評価を組み合わせる。教員や学校への報酬も、上位校合格者数だけでなく、多様な生徒を成長させた実績に連動させる。運用では第三者評価を入れ、指標の改ざんや過度な選別を防ぐ。

このように、競争を努力の契機として用いながら、評価と報酬を複数化し、運用を透明にすれば、競争の活力を保ちつつ、ゆがみや不正を抑えられる。

字数カウント: 589字

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