弘前大学 農学生命科学部地域環境工学科 総合型選抜Ⅰ 令和6年度 小論文過去問解説(スマート農業と担い手不足)
問1【解説】
設問文
以下の文章を読み、各問に答えなさい。 問1.図1より、ふだん仕事として主に自営農業に従事している農業従事者(基幹的農業従事者)の推移や現状を、グラフの数字を使って400字以内で説明しなさい。
課題文・資料の要点
課題文は、農業者数の減少と高齢化を背景に、耕地面積が1961年の608.6万ヘクタールをピークに減少し、2022年には432.5万ヘクタールになったと説明している。経営規模を拡大する農業者は増えているが、営農技術の習得の難しさ、人手に頼る作業、熟練者でなければできない作業が多く、新規就農には省力化と負担軽減が不可欠である。
図1は、基幹的農業従事者の年齢階層別人数の推移を、1960年、1980年、2000年、2020年で示す。OCRで読める範囲では、合計は1960年1142万人、1980年395万人、2000年240万人、2020年137万人であり、全体の大幅減少が明確である。2020年は70歳以上が85万人、60〜69歳が27万人と高齢層に偏る一方、若年層は少ない。
設問条件の判定
- 制限字数: 400字以内
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 図から読み取れる推移と現状を、数字を使って説明する資料読解問題であり、意見提示ではなく客観的説明が中心である。
解答プロセス
まず、設問の要件は「基幹的農業従事者」「推移や現状」「グラフの数字を使う」「400字以内」の四点である。答案では、合計人数の減少を最初に示し、次に高齢層への偏りを述べ、最後に若年層の少なさから後継者不足を説明する。
合計人数については、1960年1142万人から2020年137万人へ減ったことを中心に置く。年齢構成については、2020年に70歳以上が85万人、60〜69歳が27万人であり、多くが60歳以上である点を使う。必要に応じて、1960年には20〜29歳や30〜39歳など若年・中堅層も厚かったことと対比する。
問1【解答】
図1から、基幹的農業従事者は人数が大きく減少し、同時に高齢化が進んだことが分かる。合計は1960年には1142万人であったが、1980年には395万人、2000年には240万人、2020年には137万人まで減少している。つまり、60年間で約8分の1に縮小した。年齢構成を見ると、2020年は70歳以上が85万人と最も多く、60〜69歳も27万人であり、60歳以上が中心である。一方、15〜19歳、20〜29歳、30〜39歳などの若い層は少ない。したがって、現在の自営農業は高齢の従事者に支えられており、担い手の減少と後継者不足が深刻な状態にある。
字数カウント: 273字
—
問2【解説】
設問文
問2.農業従事者の減少や高齢化に対する対策の一つとして、ロボット、人工知能(AI)、情報通信技術(ICT)などの先端技術を活用した「スマート農業」を推進し、作業の自動化などを進めることが推進されている。図2から図5の資料から見出せるスマート農業の利点と問題点とを踏まえて、スマート農業を推進するために望まれる方策についてあなたの考えを400字以内で述べなさい。
課題文・資料の要点
図2は水田稲作におけるスマート農業のイメージで、営農アプリ、直播、自動水管理、コンバインなどによる作業記録、管理、自動化を示す資料である。図3以降は著作権の関係で本文が省略されているが、設問文からは、資料がスマート農業の利点と問題点を示していることが分かる。課題文全体の流れから、利点は省力化、負担軽減、熟練技能の補助、作業管理の効率化であり、問題点は導入費用、操作習熟、地域や経営規模による利用格差と考えられる。
設問条件の判定
- 制限字数: 400字以内
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 「利点と問題点とを踏まえて」「推進するために望まれる方策」について意見を求めているため、短い字数でも5STEPs法で論点を圧縮して構成する。
解答プロセス
- STEP1 要件確認: スマート農業の利点と問題点を両方踏まえる。利点は人手不足への対応、作業の自動化、経験の浅い人の支援である。
- STEP2 問題設定: スマート農業を「導入できる人だけの技術」にせず、地域の担い手不足を補う共通基盤にする必要がある。
- STEP3 論証: 導入が進まない原因は費用と操作の難しさであり、農家ごとに機械を持ち、学習も個人任せになりやすい点にある。
- STEP4 解決策: 機器の共同利用、導入補助、研修、データ共有を組み合わせる。
- STEP5 吟味: 補助金だけでは継続しないため、地域で使い方を共有し、若手や新規就農者が学びやすい仕組みにする。
問2【解答】
スマート農業の利点は、農作業の自動化や記録管理によって、高齢者や経験の浅い就農者の負担を減らせる点にある。自動水管理や営農アプリを使えば、熟練者の判断を可視化し、少人数でも広い農地を管理しやすくなる。
一方で、問題点は機械や通信環境の導入費用が高く、操作を覚える負担も大きいことである。小規模農家が個別に導入すれば、費用に見合う効果を得にくい。
このため、導入が進まない原因は、技術そのものよりも、地域で共有して使う仕組みが弱いことにある。個人任せにすれば、資金力や情報力の差が利用格差になる。
望まれる方策は、自治体や農協が中心となり、機器の共同利用、導入補助、操作研修、営農データ共有を一体で進めることである。
その際、単に最新機器を配るのではなく、地域の作物や農地条件に合う技術を選び、若手と高齢農業者が一緒に学べる体制を整えるべきである。これにより、担い手不足を補える。
字数カウント: 385字



コメントを残す