名古屋大学 法学部 2017年 小論文 過去問解説

■ 答案構成

問1.

5STEPの議論の整理の「共通の前提」と「相違点」と結果・根拠・具体例を使う。

強制説の定義

君子について
結果→ 反強制説
根拠→ 反強制説の根拠
具体例→ 反強制説の具体例

小人について
結果→ 強制説
根拠→ 強制説の根拠
具体例→ 強制説の具体例

問2.

5STEPを使用する。

議論の整理→ マージナル・マンとは
問題発見→ マージナル・マンの重要性
問題分析→ マージナル・マンが重要な理由
結果→ マージナル・マン賛同
結果→マージナル・マン賛同
結果の具体例と根拠→ マージナル・マン賛同の具体例と理由
結果の成立条件→ マージナル・マン賛同の成立条件
結果の吟味→マージナル・マンに賛同しない場合

 

■答案例

問1.

強制説の定義

強制説とは、法は内的正当性を必ずしももつものではなく、その本質的要素は外的強制にあるとする説のことである。

小人について

結果→ 強制説

まず、「小人」は強制説を支持すると考えられる。

根拠→ 強制説の根拠

なぜなら、「小人」は、刑罰という外的強制が自分の損得計算からみて採算があうかあわないかによって、適法行為か違法行為かが選べるからである。

具体例→ 強制説の具体例

たとえば、「小人」は、車で走行する場合に、罰金を払いたくないから制限スピード内で走ることもできるし、罰金を払ってでも急ぎたいと思えばスピード違反をすることもできる。

君子について
結果→ 反強制説

一方、「君子」は反強制説を支持すると考えられる。

根拠→ 反強制説の根拠

なぜなら、「君子」にとって法は正義であるから、外的強制ではなくて、内面的に受け入れて自発的に守る必要があると考えるからである。

具体例→ 反強制説の具体例

たとえば、「君子」は、車で走行する場合に、制限スピード内で走ることが法で定められていて正しいので守るべきであると考える。

 

強制説とは、法は内的正当性を必ずしももつものではなく、その本質的要素は外的強制にあるとする説のことである。
まず、「小人」は強制説を支持すると考えられる。
なぜなら、「小人」は、刑罰という外的強制が自分の損得計算からみて採算があうかあわないかによって、適法行為か違法行為かが選べるからである。
たとえば、「小人」は、車で走行する場合に、罰金を払いたくないから制限スピード内で走ることもできるし、罰金を払ってでも急ぎたいと思えばスピード違反をすることもできる。
一方、「君子」は反強制説を支持すると考えられる。
なぜなら、「君子」にとって法は正義であるから、外的強制ではなくて、内面的に受け入れて自発的に守る必要があると考えるからである。
たとえば、「君子」は、車で走行する場合に、制限スピード内で走ることが法で定められていて正しいので守るべきであると考える。
(373字)

 

問2.

議論の整理→ マージナル・マンとは

「マージナル・マン」とは、社会の周辺部に在る、人間や社会について鋭い洞察を示す人のことである。

問題発見→ マージナル・マンの重要性

まず、筆者は「マージナル・マン」が社会認識において重要であると述べているが、なぜ重要なのだろうか。

問題分析→ マージナル・マンが重要な理由

その理由は、社会の中心部に在る者は、法制度に満足し内面的に受け入れて守っているので、法制度の問題点の把握が難しく、正確な社会認識が困難となる可能性があるが、社会の周辺部に在る「マージナル・マン」は、法制度に不満を持つが外的強制があるから守っているだけなので、法制度の問題点の把握が容易で、正確な社会認識が可能となるからである。

結果→マージナル・マン賛同
結果→マージナル・マン賛同

このように、筆者は「マージナル・マン」が社会認識において重要であると述べているが、私は筆者の見解に対して賛同できる。

結果の具体例と根拠→ マージナル・マン賛同の具体例と理由

たとえば、私は「マージナル・マン」と評価できると思う過去の人物として、「保育園落ちた。日本死ね。」とツイッターに書き込んだ人を挙げる。その理由は、無事保育園に子供を入れられた人は法制度に満足しているので、日本の保育の制度に関する問題点の把握が難しく、正確に社会認識ができないが、保育園に子供を入れられなかった人は法制度に不満を持つので、法制度の問題点の把握が容易で、正確な社会認識が可能となるからである。

結果の成立条件→ マージナル・マン賛同の成立条件

ただし、私が筆者の見解に対して賛同する条件は、「マージナル・マン」が心の中で法制度に不満を持つだけでなく、何らかの形で表出し、社会全体が問題として認識することである。

結果の吟味→マージナル・マンに賛同しない場合

一方、すべての人が共同体の法制度の下で満足して生活を楽しんでいる場合、「マージナル・マン」が社会認識においてさほど重要にはならないと考えられる。ケルゼンが、「世の中にはどうしても両立しえない利害や対立が存在する」ということを前提にしているように、すべての人が満足するような法制度は存在しないだろう。よって、私は「マージナル・マン」が社会認識において重要であるという筆者の見解に対して賛同できる。

 

「マージナル・マン」とは、社会の周辺部に在る、人間や社会について鋭い洞察を示す人のことである。
まず、筆者は「マージナル・マン」が社会認識において重要であると述べているが、なぜ重要なのだろうか。
その理由は、社会の中心部に在る者は、法制度に満足し内面的に受け入れて守っているので、法制度の問題点の把握が難しく、正確な社会認識が困難となる可能性があるが、社会の周辺部に在る「マージナル・マン」は、法制度に不満を持つが外的強制があるから守っているだけなので、法制度の問題点の把握が容易で、正確な社会認識が可能となるからである。
このように、筆者は「マージナル・マン」が社会認識において重要であると述べているが、私は筆者の見解に対して賛同できる。
たとえば、私は「マージナル・マン」と評価できると思う過去の人物として、「保育園落ちた。日本死ね。」とツイッターに書き込んだ人を挙げる。その理由は、無事保育園に子供を入れられた人は法制度に満足しているので、日本の保育の制度に関する問題点の把握が難しく、正確に社会認識ができないが、保育園に子供を入れられなかった人は法制度に不満を持つので、法制度の問題点の把握が容易で、正確な社会認識が可能となるからである。
ただし、私が筆者の見解に対して賛同する条件は、「マージナル・マン」が心の中で法制度に不満を持つだけでなく、何らかの形で表出し、社会全体が問題として認識することである。
一方、すべての人が共同体の法制度の下で満足して生活を楽しんでいる場合、「マージナル・マン」が社会認識においてさほど重要にはならないと考えられる。ケルゼンが、「世の中にはどうしても両立しえない利害や対立が存在する」ということを前提にしているように、すべての人が満足するような法制度は存在しないだろう。よって、私は「マージナル・マン」が社会認識において重要であるという筆者の見解に対して賛同できる。
(799字)

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