名古屋大学 法学部 2016年 小論文 過去問解説

■ 答案構成

問1.

5STEPを使用する。

議論の整理→ ドイツ国家形成
問題発見→ ドイツの地域主権
問題分析→ ドイツの地域主権の原因
結果
結果→ 連邦国家の成立
結果の根拠→ 連邦国家成立の根拠
結果の事例→ 連邦国家成立の具体例
結果成立の条件→ 連邦国家の成立条件
他の結果の列挙→ 連邦国家の成立以外の結果
結果の吟味→ 連邦国家の問題点

問2

5STEPを使用する。

議論の整理→ 筆者の地域主義論評価
問題発見→ 日本の改革・改造の問題点
問題分析→ 日本の改革・改造の問題点の原因
解決策or結論
 解決策or結論→ 伝来説
 解決策or結論の根拠→ 伝来説の根拠
 解決策or結論の具体例→ 伝来説の具体例
 解決策or結論の資源→ 伝来説実現に必要な資源
 他の解決策or結論→ 伝来説以外の解決策or結論
解決策or結論の吟味→ 伝来説の問題点 

■ 答案例

問1.

議論の整理→ ドイツ国家形成

「主権国家・非主権国家・自治体」という三元的な国家把握とは、19世紀のドイツで形成された連邦国家論の国家把握のことである。

問題発見→ ドイツの地域主権

ここで、19世紀のドイツにおける問題点は地域主権状態であったということである。

問題分析→ ドイツの地域主権の原因

なぜならドイツでは、神聖ローマ帝国から、各「地域」が小さな主権国家として自立化してしまっていたからである。

結果
結果→ 連邦国家の成立

そこでドイツは各「地域」から1つの「国家」をつくり、「主権国家・非主権国家・自治体」という三元的国家把握を形成した。

結果の根拠→ 連邦国家成立の根拠

なぜなら、ドイツはフランスに匹敵する大国をつくりたかったからである。 そして連邦国家としてドイツ帝国を支配しながらも、既存の王国の固有権力を確保したかったからである。

結果の事例→ 連邦国家成立の具体例

つまり、ドイツの国家の定義として、「国家」は、国民・国土・国権からなる連邦国家とし、固有の権利や権力を有するという固有権説を使って、自らは主権国家で、既存の王国は非主権国家とした。さらに、自治体の権力は国家から伝来したものであるという伝来説で既存の王国と自治体に境界線を引いた。

結果成立の条件→ 連邦国家の成立条件

ただし、ドイツの国家形成実現には、非主権国家の同意を得ることが必要であった。

他の結果の列挙→ 連邦国家の成立以外の結果

他のドイツの国家形成の方法としては、ドイツを「自治権」の集積として考える方法があった。

結果の吟味→ 連邦国家の問題点

非主権国家の固有の権利や権力の範囲の設定が問題点となったが、このように、ドイツは各「地域」から1つの「国家」をつくり、「主権国家・非主権国家・自治体」という三元的国家把握を形成した。

 

「主権国家・非主権国家・自治体」という三元的な国家把握とは、19世紀のドイツで形成された連邦国家論の国家把握のことである。
ここで、19世紀のドイツにおける問題点は地域主権状態であったということである。
なぜならドイツでは、神聖ローマ帝国から、各「地域」が小さな主権国家として自立化してしまっていたからである。
そこでドイツは各「地域」から1つの「国家」をつくり、「主権国家・非主権国家・自治体」という三元的国家把握を形成した。
なぜなら、ドイツはフランスに匹敵する大国をつくりたかったからである。 そして連邦国家としてドイツ帝国を支配しながらも、既存の王国の固有権力を確保したかったからである。
つまり、ドイツの国家の定義として、「国家」は、国民・国土・国権からなる連邦国家とし、固有の権利や権力を有するという固有権説を使って、自らは主権国家で、既存の王国は非主権国家とした。さらに、自治体の権力は国家から伝来したものであるという伝来説で、既存の王国と自治体に境界線を引いた。
ただし、ドイツの国家形成実現には、非主権国家の同意を得ることが必要であった。
他のドイツの国家形成の方法としては、ドイツを「自治権」の集積と考える方法があった。
非主権国家の固有の権利や権力の範囲の設定が問題点となったが、このように、ドイツは各「地域」から1つの「国家」をつくり、「主権国家・非主権国家・自治体」という三元的国家把握を形成した。
(599字)

 

問2

議論の整理→ 筆者の地域主義論評価

筆者は、日本社会の構造変動と、それに応じた改革・改造を、「地域主権論」によって論じていくことに対し、根本的に国家をどうするのか、あるいは政治社会をどうつくるのかということを視野にいれて、主権概念を馴致する精密な議論をしていないと批判している。

問題発見→ 日本の改革・改造の問題点

ここで、日本の社会の構造変動に応じた改革・改造の問題点としては、地域が主人公だから、地方分権では生ぬるいからといって、「地域主権」という言葉を安易に使っているということである。

問題分析→ 日本の改革・改造の問題点の原因

これは、地域主権という概念を一旦法律に規定してしまえば、法概念として議論に組み込まれることになる。そこで憲法論の基本的な概念である国家主権をどうするのかといった問題が起こるということを知らないからである。

解決策or結論
解決策or結論→ 伝来説

そこで、私は、日本の社会変動に応じた改革・改造を、「伝来説」によって論じていくべきだと考える。

解決策or結論の根拠→ 伝来説の根拠

なぜなら、「伝来説」であれば、地域主権概念を法律に規定しないので、大きな混乱が避けられるためである。

解決策or結論の具体例→ 伝来説の具体例

たとえば、自治体の権力は国家から伝来した権力であるとする「伝来説」によって論じれば、自治体にもある程度の権力が確保される。

解決策or結論の資源→ 伝来説実現に必要な資源

「伝来説」によって論じるには、国民が「主権」概念を正しく認識して、安易に使わないようにする必要がある。

他の解決策or結論→ 伝来説以外の解決策or結論

伝来説以外に日本の社会変動に応じた改革・改造としては、根本的に主権について議論した上で地域主権を法概念に組み入れるという方法がある。

解決策or結論の吟味→ 伝来説の問題点

一方、伝来説では、自治体の権力が国家から伝来した権力という抽象的な定義であるため、権力の範囲を具体的にする必要がある。よって私は、権力の内容を具体化できれば、日本の社会変動に応じた改革・改造を、「伝来説」によって論じていくべきだと考える。

 

筆者は、日本社会の構造変動と、それに応じた改革・改造を、「地域主権論」によって論じていくことに対し、根本的に国家をどうするのか、あるいは政治社会をどうつくるのかということを視野にいれて、主権概念を馴致する精密な議論をしていないと批判している。
ここで、日本の社会の構造変動に応じた改革・改造の問題点としては、地域が主人公だから、地方分権では生ぬるいからといって、「地域主権」という言葉を安易に使っているということである。
これは、地域主権という概念を一旦法律に規定してしまえば、法概念として議論に組み込まれることになる。そこで憲法論の基本的な概念である国家主権をどうするのかといった問題が起こるということを知らないからである。
そこで、私は、日本の社会変動に応じた改革・改造を、「伝来説」によって論じていくべきだと考える。
なぜなら、「伝来説」であれば、地域主権概念を法律に規定しないので、大きな混乱が避けられるためである。
たとえば、自治体の権力は国家から伝来した権力であるとする「伝来説」によって論じれば、自治体にもある程度の権力が確保される。
「伝来説」によって論じるには、国民が「主権」概念を正しく認識して、安易に使わないようにする必要がある。
伝来説以外に日本の社会変動に応じた改革・改造としては、根本的に主権について議論した上で地域主権を法概念に組み入れるという方法がある。
一方、伝来説では、自治体の権力が国家から伝来した権力という抽象的な定義であるため、権力の範囲を具体的にする必要がある。よって私は、権力の内容を具体化できれば、日本の社会変動に応じた改革・改造を、「伝来説」によって論じていくべきだと考える。
(705字)

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