順天堂大学 医学部 小論文 2016年 解答例

2016年度 順天堂大学

・議論の整理

建物の中にいる5歳くらいの男の子が、縦長の大きな窓から外を眺めている。その表情はどこか不安げで、外の世界を見て怯えているようにも見える。しかし、彼は窓に鼻や腕を押し当てて、一生懸命に窓の外を覗いている。

・問題発見

1950年代のアメリカは、戦争という破壊と暴力の世界を乗り越え、急速に発展しつつある世界だ。そんな世界をどこか不安げに、しかし好奇心を持って覗き込む男の子の姿に、私は人間の赤ん坊の姿を連想した。

・論証

母親の胎内は、暖かく安全で酸素も栄養も自然と得られる快適な環境だ。ところが一度産まれてしまうと、自ら呼吸をして酸素を得、ミルクを口にして栄養を得ないといけない過酷な環境に放り込まれる。胎内よりは寒いし、空腹になったり、おむつが濡れて気持ちが悪かったりする。黙っていても状況は改善しないので、赤ん坊は唯一の意思表示である「泣く」という動作によって対抗する。また、外の世界には胎内にはなかったたくさんの刺激がある。両親とのふれあい、太陽の光、テレビの音……これらの刺激は赤ん坊にとっては初めて体験する脅威であると同時に、成長に必要不可欠な刺激になるのだ。赤ん坊は目に見えるものすべてを掴んで、口に入れることで成長してく。

・結論、結論の吟味

恐怖心を煽るが刺激的な外界に興味を向け、立ち向かっていこうとするこの姿勢は、赤ん坊だけでなく私たち人間の成長にとって常に必要な姿勢である。私は高校を卒業して大学生になろうとしている。慣れない大学生活が恐ろしく感じて、なるべく家に引きこもっていたいと思うこともあるかもしれない。それでも、その恐怖心を抱えながらも新生活で待ち受ける未来に好奇心を抱いて、懸命に向かっていくことが私の大学生活における進歩につながる。窓の外にその鼻を押し当て発展しつつある外の世界を見つめる男の子の視点は、未来に向かって羽ばたこうとする私の不安と好奇心を表しているように思える。(794字)

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