慶應SFC 総合政策学部 2020年 小論文 解説【林塾長作成】

大問1(一部訂正あり)

400→(60/200)

議論の整理

……資料1〜5(20/60)

……各(4×5/20)

……各々の主語/動詞があれば各2(資料4・資料5は重複なので各4)、抽出部分の論点がズレている場合、具体例に寄り過ぎてる場合は点数各1に、漢字・送り仮名ミス各-1

資料1・2は、2016年までは民主主義が後退しているというのは神話でしかなかったが、トランプ政権以後はその危惧が現実化したとしている。資料3は日本の大量移民防止政策を西欧と対比して評価している。資料4はテクノロジーと民主主義が水と油の関係にあることを指摘する。資料5では、政治に関する話題は、特に誤情報である場合にリツイートされる可能性が高く、その一助となるのが同質性の高い情報にばかり触れる環境であることを指摘している。

問題発見

……なぜ「民主主義の後退」と呼ばれるようなことが世界中で起きているか(5/60)

……同内容が書けていれば5、問いかけ口調は-1(問いかけに対する答えが人によって違うので誰しもが同じ解釈ができる小論文にならないため)、漢字・送り仮名・体言止めなど書き方ミス各-1

さて、ここでなぜ「民主主義の後退」と呼ばれるような事態が、いま世界的に起きているのかについて考えたい。

論証

……論証(20/60)

……ぱっと思いつく原因10/20、原因の原因10/20、原因・原因の原因ともに因果関係になっていなければ点数はゼロに(言い換えなどはダメ)、論証方法は言い分方式、MECE、演繹法(三段論法)、帰納法、背理法、などでも良い。ただし帰納法の場合は例外検討がなければ点数半減。主語・動詞5×2/10、漢字・送仮名・体言止めなど書き方ミスミス各-1

「民主主義の後退」は、そもそも多くの人が「民主主義の価値」を信じることができなくなることから生まれる。人々が「民主主義の価値」を信じられなくなる要因としては、資料3にもあるように国民の最大関心事である移民政策についてでさえ、国民の意見が十分反映されていないと国民が考えた場合に、国民が「民主主義の価値」に対し懐疑的になるためである。特に、デジタル化した社会においてはこうした疑念は資料4にもあるように丁寧な議論を経ることなく急速に広がり、資料5にあるようにSNSやその他ネット上のコミュニティにおける誤情報の拡散や同質性の高い情報にばかり触れる環境がそうした流れに拍車を掛ける。

結論

……結論(5/60) 、漢字・送仮名・体言止めなど書き方ミス各-1

そのため資料1・2にあるような「民主主義の後退」と呼ばれているような事態が世界的に起こるのである。

吟味

……吟味(10/60) 、漢字・送仮名・体言止めなど書き方ミス各-1

……アイディア5、それに対しての吟味5、またここで考え方に新規性がなければいずれも点数は3ずつに減点

(省略)

ここでなぜ「民主主義の後退」と呼ばれるような事態が、いま世界的に起きているのかについて考えたい。
「民主主義の後退」は、そもそも多くの人が「民主主義の価値」を信じることができなくなることから生まれる。人々が「民主主義の価値」を信じられなくなる要因としては、資料3にもあるような国民の最大関心事である移民政策についてでさえ、国民の意見が十分反映されていないと国民が考えた場合に、国民が「民主主義の価値」に対し懐疑的になるためである。特に、デジタル化した社会においてはこうした疑念は資料4にもあるように丁寧な議論を経ることなく急速に広がり、資料5にあるようにSNSやその他ネット上のコミュニティにおける誤情報の拡散や同質性の高い情報にばかり触れる環境がそうした流れに拍車を掛ける。
そのため資料1・2にあるような「民主主義の後退」と呼ばれているような事態が世界的に起こるのである。

(386)

 

大問2

  • 200→(40/200)

結論

……これから多様性が提起する問題に向き合いながら開かれた共同体を形作ることができるか否か→出来ない(10/40)

私は、日本は多様性が提起する問題に向き合いながら開かれた共同体を形作ることが出来ないと考える。(47)

根拠

……図表2、3、4(20/40)

……図表2・4(10/20) 、主語・動詞各5、漢字・送仮名・接続・体言止めなど書き方ミス各-1

……図表3(10/20) 、主語・動詞各5、漢字・送仮名・接続・体言止めなど書き方ミス各-1

……出来るにした場合根拠に資料に基づく点、新規性がなければそれぞれ-5(-5×2=-10)

なぜなら、図表2・4にあるように外国人は増加しているものの、図表3にあるように留学・技能実習など短期移民が多いためだ。(59)

具体例

……具体例(10/40) 、主語・動詞各5、漢字・送仮名・接続・体言止めなど書き方ミス各-1

また、安倍首相も移民政策を否定し、あくまでも短期の単純労働力の移入を意図していることからもこのような傾向は明らかだ。(58)

 

私は、日本は多様性が提起する問題に向き合いながら開かれた共同体を形作ることが出来ないと考える。なぜなら、図表2・4にあるように外国人は増加しているものの、図表3にあるように留学・技能実習など短期移民が多いためだ。また、安倍首相も移民政策を否定し、あくまでも短期の単純労働力の移入を意図していることからもこのような傾向は明らかだ。(164)

大問3

  • 200→(40/200)

 

結論

……「民主主義はテクノロジーに合わせて設計されていない。これは誰の落ち度でもない」→正しくない*1

……(10/40) 、対象語・動詞各5、漢字・送仮名・接続・体言止めなど書き方ミス各-1、正しいにした場合後の根拠に新規性がない場合-10

私は、「民主主義はテクノロジーに合わせて設計されていない。これは誰の落ち度でもない」という意見は正しくないと考える。

根拠

……公共空間の定義*4(10/20)、ソーシャルメディアが公共空間のあり方をどのように変容させたか*2(資料4・資料5)(10/20) 、主語・動詞各5、漢字・送仮名・接続・体言止めなど書き方ミス各-1

……(20/40)

ここでいう公共空間とは、人々が営利性を離れて公のために論を戦わせたり、論争を見る場所のこととする。ところが、ソーシャルメディアは妥当な情報に対し利用者がお金を払う形ではなく、利用者が閲覧中に見た広告収入により成り立っているため、情報の正しさではなく情報の拡散力の強さで情報の扱いの大小が決まる形に公共空間のあり方が歪められた。

具体例

……資料5で論じている情報伝播の特性*3(10/40) 、特性≒原因、結果各5、漢字・送仮名・接続・体言止めなど書き方ミス各-1

その結果、資料5にあるように人種間などの憎悪を招く情報が大きく扱われるようになり、民主主義の危機をもたらしている。これはソーシャルメディアの性質に由来するもので、ソーシャルメディアには責任があると言える。

 

私は、この意見は正しくないと考える。なぜなら民主主義の危機はソーシャルメディアの特性によりもたらされたものだからだ。

ソーシャルメディアでは情報の拡散力の強さで情報の扱いの大小が決まる形に公共空間が変容したため、人々が公のために論を戦わせる公共空間のあり方が歪められた。

その結果、資料5にあるように人種間などの憎悪を招く情報が大きく扱われるようになり、民主主義の危機をもたらしている。(191)

大問4

  • 400→(60/200)

 

議論の整理……各資料を日本に引きつけて読む(資料1-5)

……(10/60)

……資料1〜5・各2×5、主語・動詞各1(重複の場合は内容が合っていれば点数は満たす)、漢字・送仮名・接続・体言止めなど書き方ミス各-1

資料1・2では、民主主義社会の諸原則に触れられているが、既得権者が大きな力を握る我が国の現状を考えるとこうした原則は十分に守られていない。資料3では移民に閉鎖的な日本社会が称賛されているが、そうした閉鎖的な社会が経済の閉塞感を生み出している。資料4・5ではソーシャルメディアが民主主義にもたらす影響を分析しているが、日本でもヘイトスピーチなどが問題となりグローバル化の障害となっている。(193)

問題発見……日本の民主主義の状況をどう診断できるか

……(10/60) 、漢字・送仮名・接続・体言止めなど書き方ミス各-1、新規性がなければ-5

私は、日本の民主主義の状況は、「建前上の民主主義」だと診断する。

論証……論証

……(20/60)

……言い分A、言い分B各10、ぱっと思いついた原因、原因の原因各10、漢字・送仮名・接続・体言止めなど書き方ミス各-1、新規性がなければ-10

まず、各々の国民が経済的に公権力から独立することで、政治的な思想信条でも独立を保つことができる。一方、資料2にあるような政治のあり方により、各々の国民が経済的に公権力から独立していなければ、自らの生活が特定の政治権力に委ねられることになるため主体的な判断は期待できない。

結論……結論

……(10/60) 、漢字・送仮名・接続・体言止めなど書き方ミス各-1

よって、日本では「建前上の民主主義」は実現可能だが、民主主義の果実を本質的に享受することは困難である。

吟味……吟味

……(10/60) 、漢字・送仮名・接続・体言止めなど書き方ミス各-1

現在の日本は、税収の2倍の予算規模、GDPの2倍の政府債務を抱えた大きな政府であり、こうしたあり方を見直す必要があるだろう。

 

資料1・2では、民主主義社会の諸原則に触れられているが、既得権者が大きな力を握る我が国の現状を考えるとこうした原則は十分に守られていない。資料3では移民に閉鎖的な日本社会が称賛されているが、そうした閉鎖的な社会が経済の閉塞感を生み出している。資料4・5ではソーシャルメディアが民主主義にもたらす影響を分析しているが、日本でもヘイトスピーチなどが問題となりグローバル化の障害となっている。

私は、日本の民主主義の状況は、「建前上の民主主義」だと診断する。

まず、各々の国民が経済的に公権力から独立することで、政治的な思想信条でも独立を保つことができる。一方、資料2にあるような政治のあり方により、各々の国民が経済的に公権力から独立していなければ、自らの生活が特定の政治権力に委ねられることになるため主体的な判断は期待できない。

よって、日本では「建前上の民主主義」といえる。(383)

 

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