慶應義塾大学 経済学部 小論文 1988年 解説

慶應義塾大学 経済学部 1988年度 小論文模範解答

 大恐慌以後、主要先進国の政策はいずれも国内の景気回復を強く意図したものになった。たとえば、アメリカやイギリスなどの第一次世界大戦の影響が比較的少なかったグループは、信用的余力が残されていたため国内の需要創出のために公共事業を大規模に展開した。また自国と親しい関係にある先進国や植民地圏を巻き込みながらブロック経済圏を形成した。一方、ドイツなどの第一次世界大戦で不利な立場に追いやられた国は、戦後の講和条約を破棄しながら、植民地拡大戦争へと再び突き進んでいくほかなかった。
資本主義経済の宿命は、拡大をし続けなければ破綻することにある。
資本主義経済の拡大に歯止めをかけていた存在としては、まず「金本位制」があった。金本位制とは、国家が発行する紙幣の価値の裏付けになるだけの金を保持しなければならないとする貨幣発行に際する原則である。この金本位制があるかぎり、一国の経済規模は自ずと金の保持量に制約を受けことになる。そうした背景もあり、1931年にイギリスが金本位制を離脱し、1971年にアメリカが金とドルの交換を停止した。これにより各国の経済は自由に成長することができるようになり、その分為替の実質的な値動きも激しくならざるをえなかった。名目的な為替の値動きと実質的な為替の値動きが一致しない結果、世界経済に大きな歪をもたらしかねないという危機感から金本位制の停止に次いで、1973年には主要国の通貨があいついで変動為替相場制に移行した。
これにより、ようやく各国の経済はそれぞれの金保有量にも依存しなくなり、またどれほど各国経済が発展しても為替の変動により、通貨の交換に際する歪みを考慮せずに済むようになった。このことにより、世界はますます一つになり、自由貿易が促進されるようになった。かくして世界の国々は相互依存を深め、結果として戦争なども起こりにくくなった。たとえば、ゴールデンアーチ理論という考え方がある。これは、マクドナルドが進出する程度に市場経済が発展した国家同士では戦争は起こりえないという理論である。なぜならば、こうした国々は相互に生産設備・販売設備などを持ち合っているため、こうした国同士の戦闘行為は現地の資本家の利益に反するためである。よって資本家から献金を受けている政治家は戦争に踏み切ることが出来ず、かくして両国民の平和は恒久的に保たられるのである。

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