慶應義塾大学 経済学部 小論文 1986年 解説

慶應義塾大学 経済学部 1986年度 小論文模範解答

議論の整理……

十九世紀後半以降、欧米先進諸国のアジア進出の下で、多くのアジア諸国が欧米列強の植民地になった。これは、アヘン戦争に代表されるように、封建的身分制度という旧弊が残る後進国が先進国により支配された結果であった。一方、日本は、黒船襲来から尊王攘夷運動が起こり、これが発展的に解消された上で、明治維新が起こり、封建的身分制度が打壊され、結果近代的な国家が形成されるに至った。

問題発見……

日本がこうした一種の市民革命を起こし、近代化を果たすことが出来たのに対し、多くのアジア諸国は封建的身分制度という旧弊を打破できなかった理由の一つとしては、啓蒙思想家の存在の有無と、そうした思想家の考え方を受容するだけの能力が現地人に存在したか否かという問題がある。

論証……

日本における市民革命・産業革命に際しては、それを支える啓蒙思想家が多数存在した。その代表的な例が福澤諭吉である。
福澤の執筆した「学問のすすめ」は、天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らずといっても実際には人間の上下というのは存在する。これはひとえに、学問をしたかしないかによって決まるという趣旨の啓蒙思想書である。こうした考えを当時の日本人は受容し、近代文明の到達点である製造技術や金融技術、外国語や法制度などを多くの日本人が海外から学んだ。こうした啓蒙思想家が十分に活躍できたのは、明治維新以前の日本人が藩校や寺子屋などの教育制度によりほぼ100%の識字率を誇っていたためである。これは、江戸時代が極めて平和な時代であり、250年にも渡り内乱がほとんど存在していなかったこととによるものであると考えられる。
一方、当時の東アジア諸国で、これほどまでの識字率を誇る国家は存在しなかった。なぜなら、旧来的な身分制度の下で、権力争いの内乱などが常に起こっていたため、教育を始めとした内政を十分に充実させることができなかったためである。そのためこうした啓蒙思想家が一般の市民にまで認知される余地はなく、結果として近代文明の到達点である製造技術や金融技術、外国語や法制度など学ぶ層を十分に確保できなかった。このことが、欧米列強に東アジアの植民地化を許したという側面もあろう。また、地政学的には島国であり、侵攻が難しかったのも独立を保つに至った一因であるといえる。

解決策or結論……

 このような諸条件の中で、日本の政治・経済・社会はそのいずれもが、封建的な身分制度という旧弊によって支えられた世襲の指導者によってではなく、特に藩閥政治が一定の終止符を打った後は、高学歴層の指導者によって支えられてきた。また、世襲の指導者に対してでさえも、高い学歴を求める風潮は未だに根強く残されている。

解決策or結論の吟味……

こうした封建的身分制度を排し、実力により高い地位に登用される仕組みが根付いているため、多くの国民が立身出世に希望を持ち、結果として日本が大きく経済的に発展したという側面は大いにあるだろう。十九世紀後半以降、欧米先進諸国のアジア進出の下で、多くのアジア諸国が欧米列強の植民地になった。これは、アヘン戦争に代表されるように、封建的身分制度という旧弊が残る後進国が先進国により支配された結果であった。一方、日本は、黒船襲来から尊王攘夷運動が起こり、これが発展的に解消された上で、明治維新が起こり、封建的身分制度が打壊され、結果近代的な国家が形成されるに至った。
日本がこうした一種の市民革命を起こし、近代化を果たすことが出来たのに対し、多くのアジア諸国は封建的身分制度という旧弊を打破できず、植民地化されてしまった理由の一つとしては、啓蒙思想家の存在の有無と、そうした思想家の考え方を受容するだけの能力が現地人に存在したか否かという問題がある。
日本における市民革命・産業革命に際しては、それを支える啓蒙思想家が多数存在した。こうした思想家の考えを当時の日本人は受容し、近代文明の到達点である製造技術や金融技術、外国語や法制度などを多くの日本人が海外から学んだ。こうした啓蒙思想家が十分に活躍できたのは、明治維新以前の日本人が藩校や寺子屋などの教育制度によりほぼ100%の識字率を誇っていたためである。
一方、当時の東アジア諸国で、これほどまでの識字率を誇る国家は存在しなかった。なぜなら、旧来的な身分制度の下で、権力争いの内乱などが常に起こっていたため、教育を始めとした内政を十分に充実させることができなかったためである。このことが、欧米列強に東アジアの植民地化を許したという側面もあろう。また、地政学的には島国であり、侵攻が難しかったのも独立を保つに至った一因であるといえる。
このような諸条件の中で、日本の政治・経済・社会はそのいずれもが、封建的な身分制度という旧弊によって支えられた世襲の指導者によってではなく、特に藩閥政治が一定の終止符を打った後は、高学歴層の指導者によって支えられてきた。また、世襲の指導者に対してでさえも、高い学歴を求める風潮は未だに根強く残されている。
こうした封建的身分制度を排し、実力により高い地位に登用される仕組みが根付いているため、多くの国民が立身出世に希望を持ち、結果として日本が大きく経済的に発展したという側面は大いにあるだろう。

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目次
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第3章 うつでも参入できる市場はどこか考えよう
第4章 うつでもできるビジネスプランを考えよう
第5章 払ってはいけないお金を考えよう
第6章 モチベーションについて考えよう
第7章 事業を継続させる方法を考えよう
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