慶應SFC 環境情報学部 小論文 2007年 解説【林塾長作成】

(1)(20/200)

……書けている5、新規性10、緻密性5、主語・対象語・動詞抜け、漢字間違い、送り仮名間違い(各-1)、論理飛躍各-1

BOP電気自動車の実質無償提供を実現するための金融システム研究

 

(2)(20/200)

……研究期間5点、費用5点、申請先10点、書けていれば良い

研究期間:5年

研究費用:1億5000万円

研究費申請先:アメリカ・中国・インドなど国土が広く人口がそれなりにある国のライドシェア事業者

 

(3)(100/200)

 

議論の整理(5/100)……背景、目的

……書けていれば2点、新規性2点、緻密性1点

 

近年、発展途上国を対象としてBOPビジネスが脚光を集めている。私も実際にヨーロッパで見たが30万円ほどの1人乗り自動車や、発展途上国の地方都市住民のための少額団体金融、様々な先進国の商品を小分けにし消費しやすくしたあらゆるBOPビジネスがこれからの先進国企業の成長を支える存在として日夜取り沙汰されている。

 

問題発見(5/100)……どういった問題が考えられるか?

……書けていれば2点、新規性2点、緻密性1点

 

しかし、こうしたBOPビジネスには負の側面もある。発展途上国でよく見られるのが債務の罠だ。さまざまな金融商品の利用により富を先食いする形で発展を享受しようとする発展途上国の住民だが、その収支計画がしばしば上手くいかなくなることがあるのだ。

 

論証(40/100)……どのようなロジックで実現可能なのか?

……複数の要素が必要になると考えられる、4要素ぐらいに分割し、1要素書けていれば各3点、新規性各4点、緻密性各3点とする(ピラミットストラクチャー)

 

たとえば、タイでは新車を買うために30年ローンを組み返済することが一般化している。だが新車の耐用年数が30年もあるかというと極めて疑わしい。このようなことが起こる理由としては、買った新車を資本として有効活用できていないためだ。例えば、多くの場合車は通勤用途に使うものだ。そう考えると、通勤時と帰宅時以外には車にはアイドルタイムがある。こうした時間ライドシェアサービスや運送サービスに車を貸し、レンタル料を回収できれば30年ローンは10年で済む可能性もある。BOPビジネスとして脚光を浴びている30万円程度の電気自動車であれば3年で済むかもしれない。

また、BOPビジネスとして作られた電気自動車についていえば、耐用年数やバッテリーの維持費などについても検討が必要だ、そうした部分については金融の専門家だけではなく電気自動車の専門家による検討も必要だろう。

他にも、職場の場所次第でどの程度ニーズが見込めるかも考える必要がある。こうした車の短時間レンタルサービスは、日本や韓国のような人口密集国よりもどちらかといえばアメリカや中国、インドといったような国土が広く、かつ広い範囲に人が分散している国で有用だろう。こうした需要予測もモデルを作ることも大きな課題となる。

また、車を販売する際のローンをどのような形で債券化し販売するかについては、金融のプロの力が必要だ。足元の需要予測や購入者の与信なども加味しながら適切な金利を設定した上で、そうした金利の一部を例えば発展途上国向けのマーケティングサービスなどをローンの中に組み込むことで、ローンの利用者のみならず発展途上国進出を目論む大企業にも支払ってもらい、少しでも利用者にとって負担とリスクの少ない仕組みを提供したい。

 

結論(40/100)……手法・プロジェクトメンバーの人数・年次計画(期間、費用、研究費申請先の根拠)・期待される効果

……4項目について書けていれば各3点、新規性各4点、緻密性各3点

 

このように、「BOP電気自動車の実質無償提供を実現するための金融システム研究」はビジネスディベロップメント、メカニック、需要予測、ファンド組成の専門家を必要とするプロジェクトではあるが絵空事ではない現実に近づきつつある。

こうした4人の専門家がそれぞれに専門分野で力を発揮しながら、双方の仕事の仕方について別分野から新たな知見を提供するような集合天才の考え方があれば4人のチームは確実に大きな成果を生み出すことができるだろう。

年次計画について考えると期間は5年程度とすべきだろう。5年程度で電気自動車の開発、自動運転技術の開発などについて初期の重要な段階はほぼ一巡するであろうし、アメリカ・中国・インドなどの大国のライドシェア市場の開発もこの段階までで一通り結果が見えると考えられるからだ。費用としては、4人の専門家を経費込みで考えると、1人1000万円として1年で4000万円、5年で2億円が必要となる。研究費の申請先はこうした取り組みで大きな利益を得る可能性があるライドシェア企業の私的諮問機関として日本市場への進出も含めた計画づくりをサポートしたいと考えている。また、期待される成果としては、日本も含めた多くの国で自動車を買うことができる信用力・資金がない人がこの仕組みで自家用車を確保できる可能性があることだ。

 

吟味(5/100)……

……書けていれば2点、新規性2点、緻密性1点

 

もちろん、こうした取り組みには事故率の高さなどのリスクもあるが、そうしたリスクも加味した上でこうした仕組みが円滑に回るように、金融やメカニック、ビジネスディベロップメントや需要予測など多くの技術を持ち寄った学際的研究で世界の人々の幸福の総量を拡大していきたいと私は考えている。

 

近年、発展途上国を対象としてBOPビジネスが脚光を集めている。私も実際にヨーロッパで見たが30万円ほどの1人乗り自動車や、発展途上国の地方都市住民のための少額団体金融、様々な先進国の商品を小分けにし消費しやすくしたあらゆるBOPビジネスがこれからの先進国企業の成長を支える存在として日夜取り沙汰されている。

しかし、こうしたBOPビジネスには負の側面もある。発展途上国でよく見られるのが債務の罠だ。さまざまな金融商品の利用により富を先食いする形で発展を享受しようとする発展途上国の住民だが、その収支計画がしばしば上手くいかなくなることがあるのだ。

たとえば、タイでは新車を買うために30年ローンを組み返済することが一般化している。だが新車の耐用年数が30年もあるかというと極めて疑わしい。このようなことが起こる理由としては、買った新車を資本として有効活用できていないためだ。例えば、多くの場合車は通勤用途に使うものだ。そう考えると、通勤時と帰宅時以外には車にはアイドルタイムがある。こうした時間ライドシェアサービスや運送サービスに車を貸し、レンタル料を回収できれば30年ローンは10年で済む可能性もある。BOPビジネスとして脚光を浴びている30万円程度の電気自動車であれば3年で済むかもしれない。

また、BOPビジネスとして作られた電気自動車についていえば、耐用年数やバッテリーの維持費などについても検討が必要だ、そうした部分については金融の専門家だけではなく電気自動車の専門家による検討も必要だろう。

他にも、職場の場所次第でどの程度ニーズが見込めるかも考える必要がある。こうした車の短時間レンタルサービスは、日本や韓国のような人口密集国よりもどちらかといえばアメリカや中国、インドといったような国土が広く、かつ広い範囲に人が分散している国で有用だろう。こうした需要予測もモデルを作ることも大きな課題となる。

また、車を販売する際のローンをどのような形で債券化し販売するかについては、金融のプロの力が必要だ。足元の需要予測や購入者の与信なども加味しながら適切な金利を設定した上で、そうした金利の一部を例えば発展途上国向けのマーケティングサービスなどをローンの中に組み込むことで、ローンの利用者のみならず発展途上国進出を目論む大企業にも支払ってもらい、少しでも利用者にとって負担とリスクの少ない仕組みを提供したい。

このように、「BOP電気自動車の実質無償提供を実現するための金融システム研究」はビジネスディベロップメント、メカニック、需要予測、ファンド組成の専門家を必要とするプロジェクトではあるが絵空事ではない現実に近づきつつある。

こうした4人の専門家がそれぞれに専門分野で力を発揮しながら、双方の仕事の仕方について別分野から新たな知見を提供するような集合天才の考え方があれば4人のチームは確実に大きな成果を生み出すことができるだろう。

年次計画について考えると期間は5年程度とすべきだろう。5年程度で電気自動車の開発、自動運転技術の開発などについて初期の重要な段階はほぼ一巡するであろうし、アメリカ・中国・インドなどの大国のライドシェア市場の開発もこの段階までで一通り結果が見えると考えられるからだ。費用としては、4人の専門家を経費込みで考えると、1人1000万円として1年で4000万円、5年で2億円が必要となる。研究費の申請先はこうした取り組みで大きな利益を得る可能性があるライドシェア企業の私的諮問機関として日本市場への進出も含めた計画づくりをサポートしたいと考えている。また、期待される成果としては、日本も含めた多くの国で自動車を買うことができる信用力・資金がない人がこの仕組みで自家用車を確保できる可能性があることだ。

もちろん、こうした取り組みには事故率の高さなどのリスクもあるが、そうしたリスクも加味した上でこうした仕組みが円滑に回るように、金融やメカニック、ビジネスディベロップメントや需要予測など多くの技術を持ち寄った学際的研究で世界の人々の幸福の総量を拡大していきたいと私は考えている。

(1674文字)

 

(4)(80/200)

 

議論の整理(5/80)……SFCの説明

……書けていれば2点、緻密性3点

 

慶應SFCは様々な分野の研究者が集まった学際的な学部として広く知られている。慶應SFCがICUやAIU、APUのようなリベラルアーツ型のキャンパスと大きく異なる点としては、慶應SFCは実学を大事にしていることから、いわゆる文系の基礎教養、特に哲学など総じて実社会との関わりが薄いと思われがちな学問分野については手薄になる傾向があるとも言われている。

 

問題発見(25/80)……SFCでこの研究をする上でなにがボトルネックになっているか?

……書けていれば5点、新規性10点、緻密性10点

 

この研究をする上でそうした慶應SFCの基礎教養の手薄さがボトルネックになる部分があるとしたら、やはり資料2にある慶應SFCのナレッジスキルで学ぶ基礎的な数学力の点においてであろうと私は考える。金融のメカニズムを用いて、車を買うことができる信用力と資金力がない人々にも自家用車を供給する過程においては、ファンドの利回りや自動車の耐久性、事業そのものの利回りや需要予測など多くの点で数学の力が必要となるが、そうした力を十分に活かしきることができなければ、この研究を成功させることはできない。

 

論証(20/80)……原因分析

……言い分方式(中等教育の数学教育者、高等教育の数学研究者、生徒・学生である自分自身、総括)、それぞれに各5点、書けていれば2点、新規性2点、緻密性1点

 

高校までの数学教育と比較し、大学での数学教育が異なる点としては、高校までの数学がもっぱら数学教育の専門家によって行われてきたという点である。十分に分かりやすくまとめられたテキストを使い、懇切丁寧に一つの処理ができるまで生徒に付き合う。これが中等教育までの段階の数学教員に求められる姿勢だ。

一方、大学ではそうした姿勢は期待することはできないだろう。大学で数学の講義を担当するのは数学の研究者であり、あくまでも教育は片手間で行われると聞く。特に慶應SFCのように様々な分野の教員がいるキャンパスでは、どうしても教員の布陣は手薄になるだろう。

このように考えると、生徒・学生である私自身は、数学教育に対しての考え方を改めなければならないと考えている。ファンドの利回りや自動車の耐久性、事業そのものの利回りや需要予測などを行う上で必要な数学の基礎力は、まずわかりやすい参考書を何度も反復練習する中で学ぶことが大切で、その上で疑問があれば質問をする。そうしたディスカッションパートナーとして大学の教員を考えることが大切なのではないかと私は考えている。

大学の教員を研究上のディスカッションパートナーと捉えることで、自らは一個の独立した個人として教員と対等な立場で未開拓分野、フロンティアを切り開くことができる。そう考えると慶應義塾大学の半学半教という考え方に基づくこうした姿勢は何よりも重要な私自身の財産になるのではないかと、私は考えている。

 

結論(25/80)……SFCでなにを学ぶべきか?

……書けていれば5点、新規性10点、緻密性10点

 

よって、私がSFCで学ぶべきこととしては、まず基礎的な教養、特に数学力については自ら身につけるという姿勢、そしてその上で数学を活用する中で疑問が生まれたらオフィスアワーなどを利用して教員に質問するという積極性だ。数学を学ぶことに重きを置きながら、自習力と積極性を身につける。これが私の学部での課題となるだろう。

 

吟味(5/80)……吟味

……書けていれば2点、新規性2点、緻密性1点

 

総じて、SFCのような実学を重んじる学部では、基礎的な教養はないがしろにされがちだという批判もたびたび耳にするが、分厚い基礎があってこそ、応用においても揺るがない妥当性を築くことができると私は考える。よって、慶應SFCに入学したあかつきには、より一層数学力の強化に取り組みたい。

 

 

慶應SFCは様々な分野の研究者が集まった学際的な学部として広く知られている。慶應SFCがICUやAIU、APUのようなリベラルアーツ型のキャンパスと大きく異なる点としては、慶應SFCは実学を大事にしていることから、いわゆる文系の基礎教養、特に哲学など総じて実社会との関わりが薄いと思われがちな学問分野については手薄になる傾向があるとも言われている。

この研究をする上でそうした慶應SFCの基礎教養の手薄さがボトルネックになる部分があるとしたら、やはり資料2にある慶應SFCのナレッジスキルで学ぶ基礎的な数学力の点においてであろうと私は考える。金融のメカニズムを用いて、車を買うことができる信用力と資金力がない人々にも自家用車を供給する過程においては、ファンドの利回りや自動車の耐久性、事業そのものの利回りや需要予測など多くの点で数学の力が必要となるが、そうした力を十分に活かしきることができなければ、この研究を成功させることはできない。

高校までの数学教育と比較し、大学での数学教育が異なる点としては、高校までの数学がもっぱら数学教育の専門家によって行われてきたという点である。十分に分かりやすくまとめられたテキストを使い、懇切丁寧に一つの処理ができるまで生徒に付き合う。これが中等教育までの段階の数学教員に求められる姿勢だ。

一方、大学ではそうした姿勢は期待することはできないだろう。大学で数学の講義を担当するのは数学の研究者であり、あくまでも教育は片手間で行われると聞く。特に慶應SFCのように様々な分野の教員がいるキャンパスでは、どうしても教員の布陣は手薄になるだろう。

このように考えると、生徒・学生である私自身は、数学教育に対しての考え方を改めなければならないと考えている。ファンドの利回りや自動車の耐久性、事業そのものの利回りや需要予測などを行う上で必要な数学の基礎力は、まずわかりやすい参考書を何度も反復練習する中で学ぶことが大切で、その上で疑問があれば質問をする。そうしたディスカッションパートナーとして大学の教員を考えることが大切なのではないかと私は考えている。

大学の教員を研究上のディスカッションパートナーと捉えることで、自らは一個の独立した個人として教員と対等な立場で未開拓分野、フロンティアを切り開くことができる。そう考えると慶應義塾大学の半学半教という考え方に基づくこうした姿勢は何よりも重要な私自身の財産になるのではないかと、私は考えている。

よって、私がSFCで学ぶべきこととしては、まず基礎的な教養、特に数学力については自ら身につけるという姿勢、そしてその上で数学を活用する中で疑問が生まれたらオフィスアワーなどを利用して教員に質問するという積極性だ。数学を学ぶことに重きを置きながら、自習力と積極性を身につける。これが私の学部での課題となるだろう。

総じて、SFCのような実学を重んじる学部では、基礎的な教養はないがしろにされがちだという批判もたびたび耳にするが、分厚い基礎があってこそ、応用においても揺るがない妥当性を築くことができると私は考える。よって、慶應SFCに入学したあかつきには、より一層数学力の強化に取り組みたい。

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