慶應義塾大学 法学部 小論文 2008年 解説

・ 問題の解き方

 5STEPsを用いて解くべき問題。

・ 模範解答

議論の整理……

まず、「知識人」「一般人」についての定義をする。「知識人」とは、知識・思想を広く理解した高学歴層であるとしよう。また、一般人とは、そのように知識・思想を広く理解する必要性を感じない、それ以外の人々とする。明治以降、近代諸制度の整備に、こうした西洋の事情に通じている知識人は大きな社会的貢献をした。一方、今日の日本においては、そうした制度は一通り整備され尽くしているため、このような知識人がその存在意義に疑問を感じることも増えてきてもおかしくはない。
明治以降の知識人と一般人の関わりについては、知識人自身が持ち得た知識人特有のコンプレックスを焦点に当てるとわかりやすい。かつて、ある哲学者が知識人について「余計なことをかんがえることができる能力の持ち主」と述べたように、知識人は長らく自らの存在意義についてコンプレックスを持ってきた。

問題発見……

このように、知識人はしばしば自らの存在意義について疑問を呈する。特に今日の日本のように、学校や保険・医療・金融制度のような社会的インフラストラクチャーが十分に整備された時代とあってはこの傾向はますます強まる。こうした背景の中で、私達のように知識人を志向する若者は、は自らの存在意義について再度考えなおす必要がある。特に、これほどまでに発展した世界において知識人が果たすべき役割を考える必要がある。

論証……

知識人がその意味を失うのは、社会の進歩が落ち着きを見せた時である。社会が進歩しないのであれば、西洋に代表される先行事例から学ぶべき事もなくなり、必然的に外来知識の輸入を主な仕事としてきた知識人の役割は減少するためである。
知識人の仕事をこのように定義すると、知識人の仕事はまだまだ減少には転じないだろう。まず第一に、社会の発展に伴い、様々な分野はますまず細分化され、あらたな知識産業の担い手を社会を要求しているためである。また、既存産業においても、情報技術の発達などが避けがたくかつ大胆な変化を要請している。こうした面から考えると、知識人の役割は当面増えることは有っても減ることはないだろう。
また、社会の進歩がある知識人のある専門分野においてある程度の落ち着きを見せた場合にも、知識人には未開の人々を啓蒙する能力と責務がある。このようなことから、知識人にはその存在意義に疑問を呈している暇はないといえる。

解決策or結論……

以上より、知識人の役割とは社会の進歩に貢献することであると定義できる。社会の進歩をなんらかの領域で見出し、自らが一般人との交わりで人々の幸せに貢献できる場所を見い出せば、知識人の生涯はかならずや有意義なものとなるだろう。

解決策or結論の吟味……

実際に、過去多くの知識人が、社会的インフラストラクチャーを構築するために多大な貢献をした。そうした知識人の存在を欠いた文化大革命時の中国や、ポルポト政権下のカンボジアがその後の発展で大きなハンディキャップを背負ったことを考えれば、知識人の役割はあまりにも大きいと言わざるをえない。

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