慶應義塾大学 法学部 小論文 2001年 解説

・ 問題文

次の文章は、「リアルであること」と題された文 章である。著者の言う、イデオロギーや夢、宗教、死、科学などと「リアル」との関係を検討し、あなたの考えを自由に述べなさい。

・ 問題の解き方

 5STEPsで書いていく。

・ 模範解答

議論の整理……

筆者は、現代の社会において、リアルから遊離し、観念に逃げている若者が多くいることを問題にしている。実際には、現実に自分が生きているリアルな世界こそが大切であるべきであるにもかかわらず、観念論の中に逃げ込む、特にカルト宗教に逃げ込む若者が多いことを憂いている。

問題発見……

私はこうした風潮の中でも、特に自分自身の進路についてリアルに考えることのできない、あるいはそういったことをしない若者の増加に危機感を覚えている。
例えば、だれでも入れる大学に四年間通うことは失業者になるまでの期間を四年間伸ばしているだけに過ぎない可能性が高いにもかかわらず、容易にそうした大学への進学を決める同級生などを見ると、彼らが本当に真摯に進路形成について考えているのかを疑問に感じることが多々あるのだ。

論証……

こうした進路形成への怠惰な態度は、親御さんやマスメディアによる「反エリート主義」が根深く影響していることが多い。
なぜ親御さんがしばしば「反エリート主義」を採ることが多いかをここでは考察したい。
親御さんの反エリート主義は、しばしば思うように進まなかった自分自身の人生から生まれた呪いであることが多い。学歴や学識の低さゆえに、思ったように人生が進まないことが多々あった結果、子どもたちにはそうした苦労を味わってほしくはないという考え以上に、子供が自分と同じような苦労をしないのは許せないという考えが根深く、結果として子供の進路実現を阻害していまう例がある。
また、こうした親御さんの考えに同調する動きとして、しばしばマスメディアなどによって展開される「反エリート主義」的な表現がある。エリートによって構成されているマスメディアにおいて、こうした表現がしばしば用いられるのは、ただ単純にそうした表現が主な視聴者層である低収入の貧困層からの反響が良いためである。こうした大衆迎合的な表現活動が、受験生が自らの進路と向き合う機会をさらに奪っていく。

解決策or結論……

解決策or結論としては、現在暴力行為についての表現が規制されているように、学業的な怠惰を奨励するような放送をすべて禁じるべきである。たとえば、「ドラえもん」における「のび太」、「クレヨンしんちゃん」における「のはらしんのすけ」、ごくせんの殆どの登場人物はその登場機会を奪い、「ドラえもん」は「出来杉英才」、「クレヨンしんちゃん」は「風間トオル」を中心としたアニメとして再編成すべきである。

解決策or結論の吟味……

だが、こうした解決策or結論はしばしば表現の自由との兼ね合いから採用が見送られる。だが、暴力シーンの規制の際にも行われた議論だが、公共の電波を用いているという媒体の性質上、こうした放送には何らかの対応が取られるべきだろう。たとえば、「ドラえもん」のもとで「のび太」が出来杉英才に勝つなど、なにかしら勉学に励むことを奨励するような表現を公共の電波を通じて配信していくことを書くテレビ局の責務とするような社会的・政治的・行政的要請が今後の知識社会においては極めて重要になる。

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