千葉大学 教育学部 2001年 小論文2 解答例

  • 設問

わが国では、高度成長期以降、生活環境保全との関わりにおいて、「水質汚濁」が問題視されてきました。この一環として1978年に、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海のような閉鎖性水域の水質保全が図られることになり、COD(化学的酸素要求量)に関する総量規制が実施されています。

東京湾に関するデータである図1および図2を見て、次の問に答えなさい。

 

問1 図1および図2から、わかることを述べなさい(500字以内)。

問2 これらの図や水質汚濁の現状をふまえ、水質改善の方策について考えられることを述べなさい(500字以内)。

 

  • 答案構成

問1 図1は汚濁物質の絶対量、図2は汚濁物質の発生源ごとの割合についてのデータである。このことをふまえながら、結論をはじめに述べて、その根拠および具体例として図から読み取れることを具体的に書けばよい。

問2 問1で述べたことをふまえて、生活排水、産業排水それぞれについて取りうる対策を述べればよい。まず、議論の整理として問1で述べたことをおさらいし、問題・論点の発見として生活排水の未処理雑排水、処理水、産業排水それぞれに対策する必要があることを述べる。次に、その解決策or結論として取りうる対策を述べる。基本的には5STEPに依拠するが、設問の字数を見ながら一部を簡略化させるのも一つの方法である。

 

  • 答案例

問1

結論・総論

図1は東京湾における汚濁物質の絶対量について、そして図2は汚濁物質の発生源別の割合を示している。これを見ると、1979年以来、工業・農業・畜産業などの諸産業、一般家庭双方で汚濁物質の排出量は減少していることがわかる。その中でも、生活排水においては、その処理方法が改善され、汚濁物質の排出量が減少していると考えられる。つまり、1978年から実施された閉鎖性水域の水質保全政策は汚濁物質の減少に寄与し、一定の成果を生み出していると言える。

根拠及び具体例

まず、図1によると産業排水、生活排水ともに汚濁物質の排出量は年々減少しており、東京湾における汚濁物質全体の量も減少している。次に、図2によると、汚濁物質の一番の発生源は生活排水であり、全体のおよそ7割を占める。しかし、生活排水の中でも未処理雑排水の割合は減少し、処理水が増加しており、それと軌を一にして生活排水の汚濁物質量が減少している。また、「処理水」を処理する下水道の普及率が年々上昇している。このことから、下水道普及によって生活排水の処理が進み、汚濁物質量そのものも減少していると考えられる。

 

図1は東京湾における汚濁物質の絶対量について、そして図2は汚濁物質の発生源別の割合を示している。これを見ると、1979年以来、工業・農業・畜産業などの諸産業、一般家庭双方で汚濁物質の排出量は減少していることがわかる。その中でも、生活排水においては、その処理方法が改善され、汚濁物質の排出量が減少していると考えられる。つまり、1978年から実施された閉鎖性水域の水質保全政策は汚濁物質の減少に寄与し、一定の成果を生み出していると言える。

まず、図1によると産業排水、生活排水ともに汚濁物質の排出量は年々減少しており、東京湾における汚濁物質全体の量も減少している。次に、図2によると、汚濁物質の一番の発生源は生活排水であり、全体のおよそ7割を占める。しかし、生活排水の中でも未処理雑排水の割合は減少し、処理水が増加しており、それと軌を一にして生活排水の汚濁物質量が減少している。また、「処理水」を処理する下水道の普及率が年々上昇している。このことから、下水道普及によって生活排水の処理が進み、汚濁物質量そのものも減少していると考えられる。(460字)

 

問2

議論の整理

はじめに、閉鎖性水域の水質汚濁について、汚濁物質は減少しているが、現状としては依然汚濁物質は相当量存在する。

論点・問題発見

このことを考えるにあたってはまず、汚濁物質を排出する産業排水について、排出主体は工場のような大規模事業所、そして農業や畜産業を営む中小事業所と区別される。次に、生活排水の未処理雑排水を減らすためには、排出主体である一般家庭に着目する必要がある。

解決策or結論

そこでまず産業排水を排出する工場のような大規模事業所に対しては、CODの総量規制を実施する。次に、中小事業所に対しては行政が立入検査および指導を行う。さらに、未処理の雑排水は主に一般家庭から出ているため、生活排水が水質汚濁の大きな原因になっている現状や、家庭から油、洗剤、食べ残しをできるだけ流さないという対策について周知徹底して、一般家庭にも水質改善への意識付けを行う。最後に、生活排水の処理をより高度化・効率化するために、行政は下水道や浄化槽のより一層の普及と技術そのものの革新に取り組んでいかなければならない。ただし、これらの行政の取り組みは常に水質汚濁の実態や技術革新、費用対効果を考えた上での合理的な規制基準、指導内容でなければならない。

 

はじめに、閉鎖性水域の水質汚濁について、汚濁物質は減少しているが、現状としては依然汚濁物質は相当量存在する。

このことを考えるにあたってはまず、汚濁物質を排出する産業排水について、排出主体は工場のような大規模事業所、そして農業や畜産業を営む中小事業所と区別される。次に、生活排水の未処理雑排水を減らすためには、排出主体である一般家庭に着目する必要がある。

そこでまず産業排水を排出する工場のような大規模事業所に対しては、CODの総量規制を実施する。次に、中小事業所に対しては行政が立入検査および指導を行う。さらに、未処理の雑排水は主に一般家庭から出ているため、生活排水が水質汚濁の大きな原因になっている現状や、家庭から油、洗剤、食べ残しをできるだけ流さないという対策について周知徹底して、一般家庭にも水質改善への意識付けを行う。最後に、生活排水の処理をより高度化・効率化するために、行政は下水道や浄化槽のより一層の普及と技術そのものの革新に取り組んでいかなければならない。ただし、これらの行政の取り組みは常に水質汚濁の実態や技術革新、費用対効果を考えた上での合理的な規制基準、指導内容でなければならない。

(498字)

 

 

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