千葉大学 教育学部 2000年 小論文 解答例

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  • 設問

以下の文章の中で示されている意識調査の評価について、その背景にあるさまざまな事情を簡潔に説明した後に、あなた自身の考えを述べなさい。(1000字以内)

 

  • 答案構成

このような場合、まずは大まかな議論の整理として意識調査の結果を概観する。そして問題発見として意識調査の結果がどっちつかずであることをまとめる。そして、この問題に対する原因、事情を問題文に沿って、自身の考えを交えながら深堀りする。最後にその解決策or結論を提示し、吟味するという5STEPに落とし込んで考えるのが良い。

 

  • 答案例

議論の整理、問題発見

朝日新聞社の世論調査は、これからの社会のあり方について日本国民がどっちつかずであることを示している。その一例として、「どちらでもない」という選択肢を削除した朝日新聞社での調査とは異なり、同時期に行われた電通総研の調査では繊細な話題について「どちらでもない」と答える人が最も多かった。

論証

ここで、意識調査の結果を詳しく見ると、経済に関して新自由主義的な政策と旧来の政策の選択について国民が迷っていることがわかる。例えば、リストラによる経済の構造改革を行い、自己責任論に基づいて自らの能力を最大限活かせるように大規模な規制緩和を行う、「意欲や能力に応じた自由競争社会」を目指すことは新自由主義的である。一方で、企業のリストラによる失業増には消極的で、金融商品のようなリスクを負った資産運用に否定的で、終身雇用制に共感するといった政策志向は社会民主主義かつ戦後日本が長年たどってきた道である。これをより強い表現に言い換えると「平等社会」となる。

つまり、日本人はこれまでの終身雇用制のようなリスクが極小化された政策への未練を感じつつも、自由競争に基づく社会の必要性も感じ始めている。この背景には、バブル景気崩壊によって長期的な経済不況に見舞われ、日本的慣行の価値が揺らいでいることが考えられる。同時に、その反動および解決策or結論として大きな改革が求められ、アメリカやイギリスに見られる自由競争に基づく社会経済モデルが参考とされている。

解決策or結論

このように、国民意識が二分されるなかで、私は自由競争に基づいた社会経済モデルに賛成する。なぜなら、これからは情報化が進展して、機会の平等が進み、誰もが能力を発揮しやすい社会に近づくと考えるからである。さらには、日本国内だけ終身雇用や過剰な労働者保護に拘っていれば、国際化のなかで海外の企業に太刀打ちできなくなる。そうなれば、経営状態が悪化し、倒産してしまえば本末転倒である。もちろん、社会経済のあり方は単純な二者択一ではないので両モデルのよいところをそれぞれ参考とすることが大切である。つまり、全てを自己責任、能力主義に還元させるわけではなく、自己の責任のもとで能力を最大限発揮できる場所、機会を整備することを常に意識しなければならないと考える。そのためには、所得や立地に関係なく、向上心を持つ人をサポートできる環境と施策が必要であると考える。

 

 

朝日新聞社の世論調査は、これからの社会のあり方について日本国民がどっちつかずであることを示している。その一例として、「どちらでもない」という選択肢を削除した朝日新聞社での調査とは異なり、同時期に行われた電通総研の調査では繊細な話題について「どちらでもない」と答える人が最も多かった。

ここで、意識調査の結果を詳しく見ると、経済に関して新自由主義的な政策と旧来の政策の選択について国民が迷っていることがわかる。例えば、リストラによる経済の構造改革を行い、自己責任論に基づいて自らの能力を最大限活かせるように大規模な規制緩和を行う、「意欲や能力に応じた自由競争社会」を目指すことは新自由主義的である。一方で、企業のリストラによる失業増には消極的で、金融商品のようなリスクを負った資産運用に否定的で、終身雇用制に共感するといった政策志向は社会民主主義かつ戦後日本が長年たどってきた道である。これをより強い表現に言い換えると「平等社会」となる。

つまり、日本人はこれまでの終身雇用制のようなリスクが極小化された政策への未練を感じつつも、自由競争に基づく社会の必要性も感じ始めている。この背景には、バブル景気崩壊によって長期的な経済不況に見舞われ、日本的慣行の価値が揺らいでいることが考えられる。同時に、その反動および解決策or結論として大きな改革が求められ、アメリカやイギリスに見られる自由競争に基づく社会経済モデルが参考とされている。

このように、国民意識が二分されるなかで、私は自由競争に基づいた社会経済モデルに賛成する。なぜなら、これからは情報化が進展して、機会の平等が進み、誰もが能力を発揮しやすい社会に近づくと考えるからである。さらには、日本国内だけ終身雇用や過剰な労働者保護に拘っていれば、国際化のなかで海外の企業に太刀打ちできなくなる。そうなれば、経営状態が悪化し、倒産してしまえば本末転倒である。もちろん、社会経済のあり方は単純な二者択一ではないので両モデルのよいところをそれぞれ参考とすることが大切である。つまり、全てを自己責任、能力主義に還元させるわけではなく、自己の責任のもとで能力を最大限発揮できる場所、機会を整備することを常に意識しなければならないと考える。そのためには、所得や立地に関係なく、向上心を持つ人をサポートできる環境と施策が必要であると考える。(980字)

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