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北九州市立大学 法学部 一般選抜前期日程 2009年度 小論文過去問解説(格差問題への評価)

北九州市立大学 法学部 一般選抜前期日程 2009年度 小論文過去問解説(格差問題への評価)

問1【解説】

設問文

問 筆者は、以下の文章において近年の格差論に対し問題提起をしている。筆者の主張を踏まえて、格差問題に対するあなたの考えを述べなさい(840字以内)。

課題文・資料の要点

課題文は、近年の格差論が「格差が拡大したか」だけに注目しすぎていると問題提起する。筆者は、格差や不平等は近年突然現れたものではなく、等身大の生活実感に即して、どの格差がなぜ問題なのかを考える必要があると述べる。

設問条件の判定

  • 制限字数: 840字以内
  • 意見論述の要求: あり
  • 選択テンプレート: 5STEPs法
  • 判定根拠: 筆者の主張を踏まえ、格差問題に対する自分の立場を論じる問題である。

解答プロセス

  • STEP1 要件確認: 設問が求める「筆者の主張を踏まえること」と「格差問題への自分の考え」を840字以内で述べる。
  • STEP2 問題設定: 筆者は、格差論が過熱し、格差の有無や拡大だけに議論が集中することを批判している。
  • STEP3 論証: 格差そのものが全て悪いのではなく、本人の努力だけでは変えにくく、生活や将来機会を奪う格差が問題である。
  • STEP4 解決策: 教育、雇用、医療、住宅など、再挑戦の条件を整える政策が必要である。
  • STEP5 吟味: 格差を感情的に非難するだけでも、自己責任に還元するだけでも不十分である。

問1【解答】

私は、筆者の問題提起は重要だと考える。格差について議論するとき、単に「格差が広がった」「格差は悪い」と言うだけでは、何を解決すべきかが見えなくなるからである。課題文が指摘するように、社会には以前から所得、職業、教育、地域、家族背景などの違いが存在していた。したがって、問題は格差の存在そのものではなく、その格差が人の尊厳や将来の選択肢をどの程度奪うかで判断すべきである。

たとえば、努力や能力の違いによって収入や評価に一定の差が生じることは、すべて否定できない。働き方や責任の重さが異なる以上、結果に差が出る面はある。しかし、家庭の所得によって進学機会が大きく制限されたり、非正規雇用から抜け出せず結婚や子育てを諦めたり、病気や介護をきっかけに貧困へ落ちたりする格差は、個人の努力だけでは解決できない。本人が努力しても出発点の不利が繰り返し不利を生むなら、それは自由な競争とはいえない。このような格差は、社会の成員として参加する基盤を失わせるため、公共的に対処すべき問題である。

また、格差論が過熱すると、社会を「勝ち組」と「負け組」に分ける言葉だけが広がりやすい。これは当事者を責めたり、相互不信を強めたりする危険がある。必要なのは、誰がどの段階で不利を負い、その不利がどの制度によって固定されているのかを具体的に見ることである。

解決策としては、まず教育費の負担軽減、職業訓練、最低賃金の改善、住宅支援、医療や介護へのアクセス保障を組み合わせるべきである。特に、子どもの時点で家庭環境による差が固定されないよう、学習支援や給付型奨学金を充実させる必要がある。加えて、支援を受けることを恥と感じさせない情報提供も欠かせない。

結論として、格差問題は感情的な流行語として扱うのではなく、人が再挑戦できる条件を奪う格差に焦点を当てて考えるべきである。格差をすべてなくすことより、不利が世代を超えて固定されない社会を作ることが重要である。

字数カウント: 813字

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