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京都府立大学 文学部歴史学科 学校推薦型選抜 令和7年度 小論文過去問解説(現代社会における歴史との向き合い方)

京都府立大学 文学部歴史学科 学校推薦型選抜 令和7年度 小論文過去問解説(現代社会における歴史との向き合い方)

設問文

「この文章を踏まえて,現代社会における歴史との向き合い方についてあなたはどのように考えるか,具体例をあげながら八〇〇字以内で論じなさい」

課題文の要点

課題文は,オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』からの文章である。出題意図によれば,筆者は大衆社会において人びとが過去の歴史に対する想像力を失ったことを懸念している。情報を急速かつ大量に入手できる現代においても,同じ問題が起きているかを考え,歴史的想像力の欠如が招く問題を具体例とともに論じることが求められている。

解説

設問条件の判定

  • 制限字数: 800字以内
  • 意見論述の要求: あり
  • 選択テンプレート: 5STEPs法
  • 判定根拠: 課題文を踏まえ,現代社会における歴史との向き合い方について,具体例を挙げながら800字以内で論じる本格的な意見論述であるため。

解答プロセス

  • STEP1 要件確認: 課題文の前提である「歴史に対する想像力の欠如」を整理する。
  • STEP2 問題設定: 現代社会でも同じ問題が起きているという問いを立てる。
  • STEP3 論証: SNS上の断片的な歴史理解を具体例として示す。
  • STEP4 結論: 歴史との望ましい向き合い方を示す。
  • STEP5 吟味: 過去を単に教訓化する危険も踏まえ,批判的に確認する。

解答

課題文の筆者は,大衆社会において人びとが過去の歴史に対する想像力を失うことを懸念している。私は,この問題は現代社会でいっそう切実になっていると考える。なぜなら,私たちは過去について多くの情報をすぐに得られる一方で,その時代を生きた人々の条件や制約を想像せず,現在の感覚だけで歴史を判断しやすくなっているからである。

問題は,歴史を「知識」として持つことと,歴史を「他者の経験」として考えることが別である点にある。検索や動画によって,戦争,差別,災害,政治運動などの出来事の名称や結論を知ることは容易になった。しかし,それだけでは,当時の人々がどのような情報環境の中で判断し,どのような恐怖や希望を持って行動したのかを理解したことにはならない。

たとえば,SNSでは過去の戦争や植民地支配について,短い言葉で一方を全面的に善,他方を全面的に悪とする投稿が拡散されることがある。もちろん加害や被害の事実を曖昧にしてはならない。しかし,なぜそのような制度や暴力が可能になったのか,普通の人々がどのように沈黙し,あるいは抵抗したのかを考えなければ,歴史は現在の立場を正当化する材料になってしまう。

したがって,現代社会における歴史との向き合い方として重要なのは,過去を現在の価値観で裁くだけでなく,当時の文脈に入り込んで考えることである。史料を読み,複数の立場を比べ,出来事の背景にある社会構造を探る必要がある。そのうえで,現在の私たちが同じ過ちを繰り返さないために何を引き受けるべきかを考えるべきである。

ただし,歴史的文脈を理解することは,過去の不正を許すことではない。むしろ,単純な断罪で終わらせず,なぜ不正が起こり,多くの人がそれを止められなかったのかを考えるために必要である。歴史とは,過去を暗記するものではなく,現在の社会を相対化し,自分の判断を鍛えるための想像力の訓練である。

字数カウント: 787字

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