信州大学 理学部物質循環学コース 前期日程 2020年度 小論文過去問解説(海洋プラスチックと水循環)
問1【設問文】
現在、海洋には大量のプラスチックごみが流入しており、海洋のごみの50〜80%を占めると言われている。生態系や漁業、観光などへの、海洋プラスチックごみによる様々な影響が心配されており、2019年6月に開催されたG20大阪サミットにおいても、その対策について議論された。問1 海洋のプラスチックごみの大部分は、陸域から流入したものと考えられている。表1では、陸域から海洋へ流入したと推定されるプラスチックごみの排出量が多い上位10カ国と、日本とアメリカのデータを示している。なおこの推定では、適切に処理されていないプラスチックごみの15%が海洋へ排出されると仮定している。(A)と(B)に当てはまる数値を、有効数字2桁で答えなさい。なお途中の計算式も書きなさい。
問1【解説】
この設問は、人口、1人当たりプラスチックごみ排出量、適切に処理されていない割合、海洋排出率を使って推定値を計算する問題である。計算では、人口に1人当たり排出量を掛け、処理不適切割合を掛け、その15%が海洋へ流入すると考える。
問1【解答プロセス】
- 議論の整理: 海洋プラスチックは陸域排出から推定される。
- 問題発見: 単位をそろえ、割合を百分率から小数へ直す必要がある。
- 論証: 排出量 = 人口 × 1人当たり排出量 × 不適切処理割合 × 0.15。
- 結論: 表の空欄には、有効数字2桁で入れる。
- 吟味: 計算問題では、途中式と有効数字を必ず示す。
問1【解答】
解答では、表中の国について「人口 × 1人当たりプラスチックごみ排出量 × 適切に処理されていない割合 × 0.15」で求める。たとえば割合が75%なら0.75として計算する。最後は有効数字2桁に丸め、表の単位に合わせて記入する。
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問2【設問文】
問2 表1から読み取れることを説明しなさい。
問2【解説】
表1は、海洋へ流入するプラスチックごみの多さが、単に人口の多さだけで決まらないことを示す。人口、1人当たり排出量、適切に処理されていない割合が組み合わさって排出量が決まる。日本やアメリカは排出量や人口が大きくても、処理体制の違いによって上位国とは異なる位置づけになる。
問2【解答プロセス】
- 議論の整理: 表は国別の海洋排出量と、その背景要因を示す。
- 問題発見: 海洋排出量は消費量だけでなく処理体制に左右される。
- 論証: 人口が多く、処理不適切割合が高い国ほど排出量が大きくなる。
- 結論: ごみ削減と処理制度整備の両方が必要である。
- 吟味: 特定国批判ではなく、構造的要因として読む。
問2【解答】
表1から、海洋へのプラスチックごみ排出量は、人口の多さだけでなく、1人当たりの排出量と適切に処理されていない割合に強く左右されることが読み取れる。排出量が多い国では、人口規模に加えて、廃棄物処理の仕組みが十分でないことが影響している。一方、日本やアメリカはプラスチック利用量が大きくても、処理体制によって海洋流出量が抑えられていると考えられる。
字数カウント: 172字
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問3【設問文】
問3 ウミガメ類の一種であり、主にクラゲを食べるオサガメで、胃腸管の内容物が調べられた。その結果、表2に示したように、プラスチックが見つかった個体があった。調べた個体に占める、胃腸管でプラスチックが見つかった個体の割合と、年代との関係を、グラフで表しなさい。問4 問3で描いたグラフを基に、オサガメとプラスチックごみの関係について考察しなさい。
問3【解説】
オサガメは主にクラゲを食べるため、海中を漂うビニール袋などを餌と誤認する危険がある。年代別の割合をグラフ化すると、時代が下るにつれて胃腸管からプラスチックが見つかる個体が増える傾向を考察できる。
問3【解答プロセス】
- 議論の整理: 表2から年代ごとの検出割合を計算する。
- 問題発見: 個体数が少ない年代では割合のばらつきに注意する。
- 論証: 海洋プラスチックの増加と誤食の増加を結びつける。
- 結論: オサガメはプラスチックごみの影響を受けやすい。
- 吟味: 相関を述べるが、個体数の少なさという限界も示す。
問3【解答】
グラフは、横軸に年代、縦軸に「プラスチックが見つかった個体数 ÷ 調べた個体数 × 100」で求めた割合をとって作成する。考察としては、後の年代ほど検出割合が高まる傾向があり、海洋に流入したビニール袋などをオサガメがクラゲと誤認して食べている可能性がある。ただし、各年代の調査個体数が少ない場合は、偶然による変動も大きいため、長期的な追加調査が必要である。
字数カウント: 174字
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問4【設問文】
以下は水循環に関する二つの論文要約の和訳である。文章を読み、設問に答えなさい。問1 論文1の要約の( )には、土壌水分量の変化を表す同じ言葉が入る。( )に入る言葉を答えなさい。また、下線(a)に関して、その土壌水分量の変化により、なぜ蒸発散量が減少するか100字以内で説明しなさい。問2 下線(b)に関して、植物の気孔が閉じ気味になることがどのように水の流出量の増加につながるかを100字以内で説明しなさい。問3 二つの論文の研究結果を踏まえて、以下の質問に対するあなたの考えを具体的に二つ挙げなさい。質問:「蒸発散量の将来予測精度を向上させるために、今後何を明らかにすべきか?」
問4【解説】
論文1は、土壌水分量の減少が蒸発散量の減少につながると述べる。論文2は、二酸化炭素濃度上昇で気孔が閉じ気味になっても、温暖化による植物成長や生育期間の延長で蒸散量が増え、流出量が減る場合があると示す。
問4【解答プロセス】
- 議論の整理: 蒸発散量は土壌水分、気孔、植物成長、生育期間に左右される。
- 問題発見: 単純に気孔が閉じれば水が残るとは限らない。
- 論証: 土壌水分不足は蒸発散を抑え、植物成長は蒸散を増やす。
- 結論: 将来予測には、植物応答と地域差の把握が必要である。
- 吟味: 二つの論文の結論の違いを対立ではなく補完として扱う。
問4【解答】
問1 入る言葉は「減少」である。土壌水分量が減少すると、植物が根から吸収できる水と地表から蒸発する水が不足するため、蒸発散量は減少する。
問2 気孔が閉じ気味になると、葉から大気へ出る水蒸気が減るため、植物に使われず土壌や河川へ残る水が増え、流出量の増加につながる。
問3 第一に、高二酸化炭素濃度と温暖化の下で、植物の成長量や生育期間が地域ごとにどう変化するかを明らかにすべきである。第二に、土壌水分量の減少が蒸発散をどの程度制限するかを、乾燥地域と湿潤地域に分けて把握すべきである。
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問5【設問文】
森林のもつ、我々の生活にとって有益な働きに関する以下の設問に答えなさい。問1 森林には、水を浄化する働きがある。どのような仕組みで浄化されると考えられるか、その考えを記しなさい。問2 森林などの植生には、夏の暑さを緩和したり、冬の地表面の冷え込みを緩和する働きがあるという。どのような仕組みでこのような働きが起こるか、その考えを記しなさい。問3 森林は山の土砂災害を防ぐ働きがあるという。どのような理由でこうした働きが発揮されるのだろうか。理由を記しなさい。問4 海岸線にある森林は、人々の生活を守る働きがあるという。どのように人々の生活を守っていると考えられるか、その考えを記しなさい。
問5【解説】
森林は、水質浄化、気温緩和、土砂災害防止、防風・防潮などの働きを持つ。設問では、単に働きの名前を挙げるだけでなく、根、土壌、落葉、蒸散、樹冠などの仕組みによって説明することが求められる。
問5【解答プロセス】
- 議論の整理: 森林の機能を、水、気候、土砂、海岸防災に分ける。
- 問題発見: 各機能を「仕組み」で説明する必要がある。
- 論証: 土壌ろ過、蒸散、根の固定、樹木による風波の減衰を示す。
- 結論: 森林は生態系だけでなく生活基盤を支える。
- 吟味: 森林を万能視せず、適切な管理の必要性も意識する。
問5【解答】
問1 雨水が落葉層や土壌を通る過程で、細かな粒子や汚れがこし取られ、微生物の働きによって有機物も分解されるため、水が浄化される。
問2 夏は樹木の陰と蒸散により地表の温度上昇が抑えられる。冬は落葉や植生が地表を覆い、熱が急に失われることを防ぐため、冷え込みが緩和される。
問3 樹木の根が土壌をつなぎ止め、雨水が一気に斜面を流れることを抑えるため、表土の流出や斜面崩壊が起こりにくくなる。
問4 海岸林は強風や砂の飛散を弱め、高潮や津波の勢いを一部減らす。これにより家屋、農地、道路などへの被害を軽減し、人々の生活を守る。



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