信州大学 理学部 前期日程 2019年度 小論文過去問解説(地球環境問題の地域性)
問題【解説】
設問文
問2 図中の(A)、(B)および(C)の地域で生じている地球環境問題から一つ選んで、その原因を記述しなさい。
設問条件の判定
- 制限字数: 小問ごとの指定に従う
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 地球温暖化、オゾン層破壊、野生生物種の減少、開発途上国の公害問題など、地球環境問題の現象と原因を説明する設問である。
解答プロセス
- STEP1 要件確認: 図中地域の環境問題を選び、現象、原因、影響を述べる。
- STEP2 問題設定: 地球環境問題は地球規模だが、現れ方は地域ごとに異なる。
- STEP3 具体例: 熱帯林減少と生物多様性の損失を選ぶ。
- STEP4 科学的説明: 開発、農地化、伐採、炭素循環、生息地分断を因果でつなぐ。
- STEP5 解決策: 保護区だけでなく、消費地、貿易、地域住民の生活を含める。
問題【解答】
地球環境問題は、地球温暖化のように大気全体に関わる問題もあれば、熱帯林の減少や砂漠化のように特定地域で強く現れる問題もある。重要なのは、問題の広がりを地図上で確認するだけでなく、その地域でなぜその現象が生じるのかを、人間活動と自然条件の関係から説明することである。環境問題は自然現象だけでも、人間の行動だけでもなく、両者の接点で生じる。
具体例として、熱帯地域における森林減少と生物多様性の損失を考える。熱帯林は多くの生物種が生息する場所であり、炭素を固定し、水循環を安定させる役割ももつ。しかし、農地拡大、牧畜、木材伐採、鉱山開発、道路建設によって森林が分断されると、生物の生息地が狭まり、個体群の維持が難しくなる。森林が減ることは、単に木が少なくなることではなく、生態系の構造そのものを変える。
この問題は、開発途上国だけの責任として考えるべきではない。熱帯林で生産される木材、パーム油、鉱物、農産物は、先進国を含む世界市場で消費されている。つまり、森林減少の原因は現地の伐採者だけでなく、遠く離れた消費地の需要ともつながっている。地球環境問題が難しいのは、被害が現れる場所と利益を受ける場所が一致しない場合が多いからである。
科学的には、森林減少の影響は、衛星画像による面積変化、気温や降水量の変化、生物種の分布、河川の濁り、土壌流出量などによって調べることができる。これらのデータを重ねると、伐採が進んだ地域で生息地が分断され、炭素吸収量が減り、洪水や干ばつのリスクが高まる過程を説明できる。環境問題を論じる際には、印象ではなく、観測可能な指標を用いることが必要である。
解決には、保護区を設けるだけでなく、地域住民の生活を支える産業、持続可能な農林業、違法伐採を防ぐ認証制度、消費国側の責任ある購入が必要である。地球環境問題は、地域ごとの現象として現れるが、その原因は世界の経済や消費と結びついている。したがって、科学的理解と社会的制度を組み合わせて、問題の発生地と消費地の双方から対策を進めるべきである。
字数カウント: 1266字



コメントを残す