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名古屋芸術大学 芸術学部芸術学科デザイン領域 総合型選抜B・C方式(実技・小論文型)2期 2025年度 小論文過去問解説(多様化社会におけるデザインとコミュニケーション)

名古屋芸術大学 芸術学部芸術学科デザイン領域 総合型選抜B・C方式(実技・小論文型)2期 2025年度 小論文過去問解説(多様化社会におけるデザインとコミュニケーション)

設問文

[課題] 近年,社会の多様化が進展し,異なる価値観や背景を持つ人々がますます増えています。このような環境において,他者と効果的にコミュニケーションを図るためには,どのようなデザインの視点が必要でしょうか。あなた自身の体験を交えながら,これに対する考えを述べなさい。

課題資料の要点

出題意図では,他人を理解し,つながろうとする意欲や工夫はデザイナーにとって必要不可欠な素養であるとされている。また,社会のグローバル化や多様化は現代社会が直面する大きな課題の一つであり,受験者がこの問題に日頃からどのような関心を持ち,どのように考えているかを問う問題である。

解説

設問条件の判定

  • 制限字数: 800字程度
  • 意見論述の要求: あり
  • 選択テンプレート: 5STEPs法
  • 判定根拠: 多様化社会におけるデザインの視点について,自分の体験を交えながら800字程度で考えを述べる本格的な意見論述であるため。

解答プロセス

  • STEP1 要件確認: 設問の前提である社会の多様化と,デザインが単なる見た目ではなく関係をつくる営みであることを整理する。
  • STEP2 問題設定: 価値観や背景が異なる人同士では,伝えたつもりでも伝わらないという問題を発見する。
  • STEP3 論証: 自分の体験を用いて,利用者の前提を想像する必要を示す。
  • STEP4 解決策: 必要なデザインの視点を具体的に示す。
  • STEP5 吟味: 効率や統一感だけを優先する危険を確認し,多様性を前提に結論づける。

解答

多様化が進む社会で必要なデザインの視点は,形や色を美しく整えることだけではなく,異なる背景を持つ人同士が無理なく関われる状況をつくる視点である。国籍,年齢,障害の有無,言語,生活習慣,価値観が違えば,同じ表示や言葉でも受け取り方は変わる。だからデザインは,発信者が伝えたいことを一方的に示すものではなく,相手の理解や行動まで想像して設計するものでなければならない。

問題は,人は自分にとって当たり前の環境を基準にしてしまう点である。自分には読みやすい文字,自分には分かりやすい案内,自分には使いやすい道具であっても,他者にとって同じとは限らない。多様な人々と効果的にコミュニケーションを図るには,まず「伝わらない可能性」を前提にする必要がある。

私は学校行事の案内ポスターを作ったとき,最初は目立つ色と大きな文字を使えば十分だと考えていた。しかし,友人から「日時は目立つが,参加方法が分かりにくい」と言われた。そこで,情報を日時,場所,対象,申込方法に分け,余白を使って読む順序を整理した。すると,初めて内容を見る人にも説明しやすくなった。この経験から,デザインは作り手の感覚だけで完成するものではなく,受け手の不安や迷いを想像して修正するものだと学んだ。

したがって,多様な社会で必要なのは,第一に相手の立場に立って観察する視点である。第二に,文字,色,図,音声,動きなど複数の伝え方を組み合わせる視点である。第三に,完成前に実際の利用者に近い人へ見てもらい,誤解や使いにくさを発見する視点である。特にデザイン領域では,美しさと分かりやすさを対立させず,両方を成立させる工夫が求められる。

もちろん,全員に完全に同じように伝わるデザインを作ることは難しい。また,多様性に配慮しすぎると情報量が増え,かえって分かりにくくなることもある。だからこそ,誰に何を伝えたいのかを整理し,複数の人が参加しやすい余地を残すことが大切である。他者を理解しようとする姿勢そのものが,効果的なコミュニケーションを支えるデザインの出発点だと考える。

字数カウント: 860字

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