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上智大学 外国語学部 フランス語学科 公募制推薦入試 2025年度 小論文 過去問解説

【問題概要】

上智大学 外国語学部 フランス語学科 公募制推薦入試 2025年度の小論文過去問です。

【設問文全文】

以下の文章を読んで、設問に答えなさい。課題文は、日本での進化論受容、社会ダーウィニズム、生存競争、多様性、SDGsの「誰一人取り残さない」という語りを検討し、競争の勝者だけを正当化する発想や、表面的な多様性が格差を温存する危険を論じている。出典は佐藤仁『争わない社会 「開かれた依存関係」をつくる』である。

1) 下線部1に関し、「棲み分け」は何の代替案ですか。説明しなさい。(50字)

2) 下線部2に関し、適不適の基準は一面的と著者は批判しています。適不適の基準について説明したうえで、なぜ一面的なのか、説明しなさい。(100字)

3) 下線部3に関し、なぜ多様性の美がかえって格差を温存することになるのかを説明しなさい。(100字)

4) 下線部4に関し、「誰一人取り残さない」がどのようなスローガンなのかを述べたうえで、著者がなぜそれを批判するのかを説明しなさい。(250字)

5) 下線部の「みせかけの多様性」について、身近な例を踏まえて論じなさい。(900字)

1)【解説】

生存競争に代わる共存の発想として答えます。

1)【解答例】(51字)

 生存競争で勝者だけが残るという進化理解に対し、異なる環境や役割を分け合い共存する考え方の代替案である。

2)【解説】

適不適の基準が社会制度によって作られる点を示します。

2)【解答例】(91字)

 適不適の基準とは、環境に合うものが優れ、合わないものは淘汰されるという見方である。しかし社会では環境自体が権力や制度で作られ、誰を有利にするかが時代や立場で変わるため、一面的である。

3)【解説】

多様性の称賛だけでは条件の不平等が残る点を説明します。

3)【解答例】(93字)

 多様性を称賛しても、競争条件や資源配分を変えなければ、強い立場の集団だけが多様性を利用できる。結果として、不利な人は排除され、格差が自然な能力差や選択の差として温存されてしまうのである。

4)【解説】

理念と批判点を分けて250字以内でまとめます。

4)【解答例】(226字)

 「誰一人取り残さない」は、SDGsに象徴される包摂的発展のスローガンであり、貧困や差別の中にある人も発展から排除しないという理念を示す。著者が批判するのは、この言葉が歴史的責任や不平等の原因を曖昧にし、前向きな合意だけを強調しやすいからである。誰が誰を取り残したのか、なぜ取り残される構造が生まれたのかを問わなければ、弱者を包摂するように見えて、既存の競争や格差をそのまま続ける危険がある。つまり、原因を問わない善意の言葉になりかねず、問題の根を隠す。

5)【解説】

5STEPs法での書き方

STEP1で定義、STEP2で身近な例、STEP3で問題点、STEP4で制度改善、STEP5で結論を述べます。

5)【解答例:5STEPs段落構成】(839字)

STEP1

 「みせかけの多様性」とは、表面上は多様な人や価値観を認めているように見えながら、実際には既存の競争条件や権力関係を変えない状態を指す。私は、大学や企業の入試・採用で使われる「多様な人材」という言葉に、その危険が表れやすいと考える。

STEP2

 たとえば企業が、国籍、性別、経験の違う人を採用していると宣伝しても、評価基準が長時間労働、転勤可能性、同じ日本語表現、同じ学歴に偏っていれば、本当に多様な人が力を発揮できるわけではない。育児や介護を担う人、外国にルーツを持つ人、障害のある人は、制度に合わせられない側として低く評価されやすい。

STEP3

 この場合、多様性は格差を変える力ではなく、組織をよく見せる装飾になる。課題文が批判するように、競争の条件を問わずに「多様な参加」を掲げると、参加できない人の事情は本人の努力不足とされる。すると、制度の不公平は見えにくくなり、強い立場の人だけが多様性の利益を得る。

STEP4

 本当の多様性には、単に違う属性の人を集めるだけでなく、評価基準や支援の仕組みを変えることが必要である。企業なら、短時間勤務でも昇進できる制度、複数言語での情報提供、障害に応じた合理的配慮、ハラスメントへの対応が必要である。大学なら、入学後の学習支援や経済支援も欠かせない。

STEP5

 結論として、多様性は美しい言葉だが、それだけでは公正を保証しない。誰が参加しにくいのか、どの制度が不利を作っているのかを問う時、多様性は初めて格差を変える力になる。みせかけの多様性を避けるには、違いを歓迎するだけでなく、違いを持つ人が実際に選択肢を持てる条件を整える必要がある。身近な場面でも、代表者の顔ぶれを多様にするだけで満足せず、発言時間、情報へのアクセス、失敗した時の再挑戦の機会を公平にすることが求められる。さらに、少数派の人にだけ説明や適応の負担を押しつけない配慮も必要である。多数派が自分たちの普通を見直す時、多様性は初めて実質を持つ。そうして初めて、多様性は競争の飾りではなく、共に生きるための制度になる。

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