【問題概要】
上智大学 外国語学部 ポルトガル語学科 カトリック高等学校対象特別入試 2025年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
次の2つの文章を読んで1から5の問いに答えなさい。著作権の都合により問題文は非公表。出典は日本経済新聞朝刊2024年4月16日(一部改変)。
1. なぜ欧米はパレスチナ紛争により関心があるのか。本文の内容に即して説明しなさい。(100字程度)
2. 「忘れられた紛争」について本文の内容に即して説明しなさい。(200字程度)
3. 国連開発計画(UNDP)野田局長が「世界の紛争が新たな局面に入った」と述べているが、具体的にその内容を説明しなさい。(200字程度)
4. 本文で「日米欧の民主主義陣営と中ロなど権威主義陣営の覇権争いが激化する世界の秩序」と書かれているが、この点についてあなたが知っていることやあなた自身の見解を述べなさい。(字数制限なし)
5. あなたが普段から関心があるグローバルな課題(本文にある気候変動や難民を含む)について具体的に説明しなさい。またそれらは今後あなたが外国語学部で学ぶこととどのような関係があるか。自由に書きなさい。(字数制限なし)
1【解説】
1【解答例】(93字)
欧米がパレスチナ紛争に強い関心を持つのは、中東の安全保障、エネルギー、同盟関係、人権外交に関わるからである。イスラエルとの歴史的関係もあり、国内世論や選挙にも影響するため、無視できない。
2【解説】
2【解答例】(186字)
「忘れられた紛争」とは、世界各地で深刻な被害を生んでいるにもかかわらず、国際社会やメディアの注目が十分に向けられない紛争である。ウクライナやガザのように大きく報じられる紛争の陰で、スーダン、イエメン、ミャンマーなどの危機は支援や外交の優先順位が下がりやすい。被害の大きさと国際的注目が一致しない点が問題である。報道が少ないほど支援も集まりにくく、人道危機が長期化しやすい。
3【解説】
3【解答例】(193字)
「新たな局面」とは、紛争が単独の地域問題にとどまらず、民主主義陣営と権威主義陣営の対立、気候変動、食料危機、難民問題と結びついて複雑化している状況を指す。大国間競争が激しくなると、停戦や人道支援にも政治的駆け引きが入り、国連などの調整力が弱まりやすい。その結果、地域紛争が長期化し、周辺国や世界経済にも影響を及ぼす。軍事衝突だけでなく、食料、エネルギー、移民の危機へ波及する点が新しい。
4【解説】
5STEPs法での書き方
STEP1で対立構造、STEP2で留保、STEP3で国際法、STEP4で外交、STEP5で結論を述べます。
4【解答例:5STEPs段落構成】(560字)
STEP1
本文のいう世界秩序の変化とは、日米欧の民主主義陣営と、中国やロシアなどの権威主義陣営の対立が、軍事、経済、情報、外交の各分野で強まっている状況である。ウクライナ侵攻や台湾海峡、南シナ海、ガザ情勢は、地域問題であると同時に大国間競争の文脈でも理解される。
STEP2
私は、この対立を単純な善悪の図式だけで見るべきではないと考える。たしかに、武力による現状変更や人権侵害には明確に反対する必要がある。しかし、民主主義を掲げる側にも、過去の植民地主義、二重基準、難民受け入れの不十分さなどの課題がある。
STEP3
重要なのは、価値を掲げるだけでなく、国際法、人道支援、開発協力を一貫して実行することである。自国に都合のよい地域だけ支援し、注目されにくい紛争を放置すれば、国際秩序への信頼は弱まる。中立を掲げるグローバルサウス諸国の不信にも耳を傾けるべきである。
STEP4
また、権威主義国との対立が深まるほど、経済安全保障や情報操作への対策は必要になる。しかし、相手国の国民や文化まで敵視すれば、排外主義を強める。外交では制裁や抑止と同時に、対話の窓口を残すことが現実的である。
STEP5
結論として、世界秩序の競争が激化する時代には、民主主義陣営こそ、法の支配、人権、透明性を自ら守る必要がある。紛争を陣営争いの道具にせず、被害を受ける市民を中心に考える姿勢が求められる。
5【解説】
5STEPs法での書き方
STEP1で課題、STEP2で不公平、STEP3で外国語学習、STEP4で協力、STEP5で結論を述べます。
5【解答例:5STEPs段落構成】(578字)
STEP1
私が関心を持つグローバルな課題は、気候変動によって住む場所や仕事を失う人々の増加である。洪水、干ばつ、海面上昇は、農業や漁業、住居を脅かし、国内避難民や国境を越える移動を生む。これは環境問題であると同時に、人権、開発、難民政策の問題でもある。
STEP2
たとえば島しょ国では海面上昇により土地そのものが失われるおそれがある。アフリカや中南米では干ばつが農業生産を不安定にし、貧困や紛争の原因にもなる。気候変動の影響を最も受ける人々が、必ずしも多くの温室効果ガスを出してきたわけではない点に不公平がある。
STEP3
外国語学部で学ぶことは、この課題と深く関係する。外国語を学ぶとは、単語を覚えるだけでなく、その言語を使う人々の歴史、生活、政治、文化を理解することである。現地の報道、文学、証言に触れることで、統計だけでは見えない被害や希望を知ることができる。
STEP4
また、国際協力では通訳や翻訳だけでなく、相手の価値観を理解し、対等に話し合う力が必要である。気候変動対策は技術だけでは進まない。地域の生活様式、土地利用、教育、行政への信頼を踏まえなければ、支援は押しつけになる。
STEP5
したがって、外国語学部での学びは、グローバル課題を自分から遠いニュースとして見るのではなく、具体的な人々の声として受け止めるための基盤になる。言語を通じて複数の立場を理解し、環境と移動の問題を結びつけて考えたい。



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