【問題概要】
上智大学 外国語学部 ロシア語学科 カトリック高等学校対象特別入試 2024年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
次の文章を読んで、後の問1〜3に答えなさい。引用に際し、原典にあった小見出しやルビは削除してあります。
課題文は、日本の入管での言語対応、名古屋出入国在留管理局での事例、ウクライナから逃れた人々を「避難民」と呼び、他国からの難民と区別する日本政府の姿勢について述べている。岸田首相はウクライナ「避難民」の受け入れについて、「日本には『困ったときはお互いさま』という言葉があります」と会見で述べた。
問1 下線部(1)に関し、旧ソ連もアフガニスタンで多くの難民を生み出す原因となる出来事を過去に起こしています。それがどんな出来事か、40字前後で説明しなさい。解答は1枚目の原稿用紙に問題番号を付して解答すること。
問2 下線部(2)に関し、筆者はなぜ岸田首相の言葉が「泣きたくなるほどお粗末」だと感じているのですか。その理由を150〜200字で説明しなさい。解答は問1と同じ原稿用紙に問題番号を付して解答すること。
問3 次の①②いずれかのテーマを選んで、あなたの考えを600〜800字で書きなさい。解答は2〜3枚目の原稿用紙の欄外に問題番号と選んだテーマの番号を付して解答すること。①文章で描写されている名古屋出入国在留管理局の様子には多くの問題点が散見されます。言葉の観点から、どのような点がどう改善されるべきだとあなたは考えますか。②文章にもある通り、日本が難民を受け入れる条件は世界的に見て非常に厳しいと言われています。しかし難民を受け入れすぎると国の治安が悪化する、日本人の失業率が上がる、という意見もあります。あなたは日本が今後どのような難民政策をとるべきだと考えますか。
問1・問2【解説】
問1は歴史的事実を簡潔に、問2は筆者の批判対象を政策の矛盾として整理します。
問1【解答例】(42字)
一九七九年のソ連軍によるアフガニスタン侵攻と、その後の長期戦争が大量の難民を生んだ。
問2【解答例】(158字)
筆者が問題にするのは、首相の言葉が善意の美談にとどまり、日本の難民認定の厳しさや、ウクライナ人を「避難民」と呼んで他国の難民と区別する政策上の矛盾を直視していない点である。「困ったときはお互いさま」と言うなら、アフガンやミャンマーなどの難民にも同じ基準で向き合うべきであり、言葉だけで選別を覆い隠しているからである。
問3【解説】
5STEPs法での書き方
STEP1で立場、STEP2で人道原則、STEP3で不安への制度的対応、STEP4で公平性、STEP5で結論を述べます。
問3【解答例:5STEPs段落構成】(739字)
STEP1
私は②を選び、日本は難民受け入れを現在より積極的に進めるべきだと考える。ただし、単に人数を増やすだけでなく、審査、生活支援、地域との調整を制度として整える必要がある。課題文が示すように、ウクライナから逃れた人を「避難民」と呼び、他地域の人々を難民として認めにくい姿勢は、公平な保護とは言い難い。
STEP2
難民政策で第一に重視すべきなのは、生命の危険から逃れてきた人を守るという人道上の原則である。政府軍や武装勢力による迫害、戦争、民族的・政治的な抑圧から逃れた人に対し、「帰れ」と言うだけでは、国際社会の一員としての責任を果たしたことにならない。
STEP3
一方で、受け入れへの不安を無視してよいわけではない。治安悪化や失業への懸念は、情報不足や生活支援の不十分さから強まる。したがって、難民認定の透明化、日本語教育、職業訓練、住居支援、地域への説明を一体で行うべきである。働く機会を早く確保すれば、難民は支援を受けるだけの存在ではなく、地域社会を支える担い手にもなる。
STEP4
また、国籍や出身地域によって扱いを変えることは避けなければならない。ウクライナの人を保護することは当然だが、アフガニスタン、ミャンマー、コンゴ民主共和国などから逃れた人にも、同じ基準で事情を聞く必要がある。入管での通訳や説明も、相手が理解できる言語で行われるべきである。
STEP5
結論として、日本がとるべき難民政策は、厳格な排除ではなく、公平で透明な保護である。審査を速くし、保護すべき人を保護し、地域で生活できる制度を整えれば、治安や雇用への不安も小さくできる。難民を例外的な負担として見るのではなく、命を守る責任と共生の仕組みを同時に考えることが必要である。受け入れの理由を社会に説明し、住民と難民が互いを知る場を作ることも欠かせない。



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