【問題概要】
上智大学 外国語学部 フランス語学科 公募制推薦入試 2024年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
以下の文章は、生成AIに関する政治学者による時事評論です。設問に答えなさい。課題文は、ChatGPTが人間のように答える一方で文章の意味を理解していないこと、誤情報や著作権・プライバシーの問題、AI時代に人間のオリジナリティーや自分の頭と身体で考えることを問い直す必要を論じている。
設問1:傍線部1の意味を説明しなさい。(100字程度)
設問2:傍線部2の意味を説明しなさい。(100字程度)
設問3:傍線部3に関して、なぜ著者は「どうしても考えてしまう」のかを説明しなさい。(150字程度)
設問4:傍線部4の意味を説明しなさい。(150字程度)
設問5:AIを使うことのメリットとデメリットについて具体例をあげて説明したうえで、あなた自身にとってどのようにAIとつきあうことが望ましいのかを論じなさい。(900〜1100字)
設問1【解説】
設問1【解答例】(104字)
生成AIは、人間の会話のような自然な文を返すため、利用者には理解して答えているように見える。しかし実際には、大量の文章から確率的にもっともらしい語を並べているのであり、意味を体験的に理解しているわけではない。
設問2【解説】
設問2【解答例】(101字)
AIの回答は流暢でも、事実確認や意味理解を必ず伴うわけではない。存在しない情報を作ったり、人物を混同したりするため、人間が読む際には根拠を確かめる必要がある。文章の自然さと正確さは別だという意味である。
設問3【解説】
設問3【解答例】(150字)
著者が考えてしまうのは、AIが文章、画像、設計などの創作に関わるほど、人間の独自性がどこに残るのかが曖昧になるからである。便利さだけを見れば効率化できるが、発想、身体感覚、経験、責任まで機械に委ねれば、創作する主体としての人間の位置が問われる。AI時代には、何を自分で考えたと言えるのかが問題になる。
設問4【解説】
設問4【解答例】(146字)
自分の頭と身体を使うとは、AIの出力をそのまま受け取るのではなく、自分の経験、感覚、調査、対話を通じて考え直すことである。便利な技術を使いながらも、判断の責任を自分で引き受け、現実の人間関係や身体感覚から問いを立てる態度を指す。画面上の正しさだけでなく、生活の実感に照らして考える姿勢である。
設問5【解説】
5STEPs法での書き方
STEP1でメリット、STEP2でデメリット、STEP3で具体例、STEP4で自分の方針、STEP5で結論を述べます。
設問5【解答例:5STEPs段落構成】(910字)
STEP1
AIを使うメリットは、情報整理、文章の下書き、翻訳、アイデア出しを短時間で行える点である。たとえばレポートを書く前に論点を整理したり、英語記事の概要をつかんだり、プログラムの誤りを見つけたりできる。自分だけでは思いつかない視点を得られることもある。
STEP2
一方でデメリットも大きい。AIはもっともらしい誤情報を出すことがあり、出典を確認しなければ誤った知識を信じてしまう。個人情報や未公開の文章を入力すれば、プライバシーや著作権の問題も生じる。また、考える前にAIへ頼る習慣がつくと、自分で問いを立てる力が弱まる。
STEP3
具体例として、歴史のレポートでAIに答えを作らせると、一見整った文章が得られる。しかし年号や人物関係が誤っていても、利用者が知識を持たなければ気づけない。さらに、そのまま提出すれば、自分の理解ではなく機械の出力を借りたことになり、学習の意味が失われる。
STEP4
私にとって望ましいAIとのつきあい方は、答えを代行させるのではなく、考える過程を補助させることである。まず自分で問いと仮説を立て、その後にAIで反論や関連論点を探す。出てきた内容は必ず資料や一次情報で確認し、自分の言葉で組み直す。個人情報や他人の未公開文章は入力しない。
STEP5
結論として、AIは恐れて避けるだけのものでも、無条件に従うものでもない。重要なのは、効率化できる作業と、自分で考えるべき判断を分けることである。学校や仕事で使う場合も、AIが作った文章を完成品にせず、何を採用し、何を捨てるかを自分で説明できなければならない。創作では、AIに候補を出させても、最終的な意図や責任は人間が持つべきである。さらに、AIの答えに違和感を持つ力を保つには、読書、観察、対話、実際の経験を軽視してはならない。自分で苦労して調べた知識があるからこそ、AIの出力の誤りや偏りにも気づける。AI時代だからこそ、自分の頭と身体を使い、根拠を確かめ、責任を持って表現する姿勢が必要である。私は、AIを便利な相棒として使うが、自分の判断を預ける相手にはしない。最後に、AIを使ったことや参照した範囲を必要に応じて明示する誠実さも持ちたい。便利さと主体性を両立させることが大切である。



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