【問題概要】
上智大学 経済学部 経済学科 帰国生入試 2024年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
課題文は、少子化を個人の選択だけでなく外部性を伴う社会問題として捉え、子どもを持つことが将来の年金財政や社会全体に利益をもたらすと論じている。これを踏まえて設問に答えなさい。
問1:著者は、年金の支給額を子どもの人数とともに増えるようにする制度変更が「最適である」と述べている。倫理的または実務的な問題を除くと、そのような制度変更が最適となる理由を説明しなさい。(300字程度)
問2:この制度変更に対する考えを説明した上で、あなたの考えを述べなさい。(400字程度)本文の論点を十分に検討していること。
問1【解説】
子どもが将来の年金制度を支える外部性を持つ点を説明します。
問1【解答例】(289字)
制度変更が最適とされる理由は、子どもを持つことが親だけでなく社会全体に利益をもたらす外部性を持つからである。将来の年金制度は、現役世代が高齢世代を支える仕組みであるため、子どもが増えれば将来の保険料負担者も増える。しかし現在の制度では、子育て費用は主に親が負担し、その子が将来支える年金の利益は社会全体に広がる。すると、個人にとって子どもを持つ誘因は社会的に望ましい水準より小さくなる。年金額を子どもの人数に応じて増やせば、子育ての社会的貢献を親に還元でき、外部性を内部化するため、理論上は最適となる。つまり、社会が受ける将来利益と親の私的費用のずれを調整する制度だからである。
問2【解説】
理論的合理性を認めつつ、直接連動の倫理的問題と代替策を示します。
問2【解答例】(377字)
私は、子どもの社会的貢献を制度に反映させる発想には一定の合理性があると考える。少子化を個人の選択だけに任せると、子育て費用を負う人と、将来その子ども世代に支えられる人との間に不公平が生じるからである。ただし、年金額を子どもの人数に直接連動させる制度には慎重であるべきだ。不妊、病気、経済事情、介護、人生観などにより子どもを持たない人もおり、その人々を罰する制度に見えれば倫理的反発が強い。また、子どもの数だけを評価すると、子育ての質や子ども自身の権利が軽視される危険もある。したがって、年金で差をつけるより、児童手当、保育、教育費、住宅支援、育休給付を充実させ、子育て費用を社会全体で分担する方が望ましい。企業の長時間労働を改め、男女とも育児に参加できる環境も必要である。少子化対策は、親への報酬ではなく、子どもを育てやすい環境整備として行うべきである。



コメントを残す