【問題概要】
上智大学 法学部 地球環境法学科 カトリック高等学校対象特別入試 2023年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
次の新聞記事を読み、まず、日本政府が原子力政策の方針を転換した理由と原発の課題を整理しなさい。その上で、この方針転換について賛成又は反対の立場から論じなさい。なお、本問は専門的な知識を問うものではない。課題文は、福島第一原発事故後に「依存を減らす」としてきた政府が、脱炭素、電力安定供給、エネルギー価格高騰などを背景に、新増設、運転期間延長、再稼働を検討する方針へ転換したことを扱っている。
問1【解説】
5STEPs法での書き方
STEP1で転換理由、STEP2で課題、STEP3で立場、STEP4で反論、STEP5で結論を述べます。
問1【解答例:5STEPs段落構成】(771字)
STEP1
日本政府が原子力政策を転換した理由は、脱炭素と電力の安定供給を同時に進める必要が強まったからである。化石燃料価格の高騰や国際情勢の不安定化により、輸入燃料に依存する危うさが目立った。また、2050年の脱炭素を実現するには、発電時に二酸化炭素を出しにくい電源を確保する必要がある。
STEP2
一方で、原発には重大な課題がある。第一に安全性である。福島第一原発事故の経験から、事故が起きた場合の被害は広範で長期に及ぶ。第二に、使用済み核燃料や最終処分の問題が解決していない。第三に、再稼働や新増設には地元の同意と信頼が不可欠だが、不祥事や情報不信があれば進まない。
STEP3
私は、政府の方針転換には反対である。脱炭素や安定供給の課題は重要だが、それを理由に原発回帰を急ぐことは、事故後に確認されたリスクを過小評価する危険がある。運転期間の延長や新増設は、将来世代に廃炉、核廃棄物、事故リスクを残す政策であり、短期的な電力不安だけで判断すべきではない。
STEP4
想定される反論として、再生可能エネルギーだけでは安定供給できず、原発を使わなければ電気料金や産業競争力に悪影響が出るという意見がある。確かに、太陽光や風力には変動があり、蓄電池や送電網の整備も必要である。しかし、それは原発推進の理由ではなく、再生可能エネルギーを支える制度投資を急ぐ理由である。
STEP5
結論として、原発政策の転換は、国民的議論と安全・廃棄物問題の見通しを欠いたまま進めるべきではない。省エネ、再生可能エネルギー、送電網、蓄電、需要調整を組み合わせ、原発依存を高めない脱炭素を目指すべきである。安全への不信が残る中での原発回帰は、環境政策としても民主的手続としても問題が大きい。政府が本当に原発を選択肢に入れるなら、費用、事故時の責任、廃棄物処分、地元同意の条件を明確にし、国民が判断できる情報を示す必要がある。



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