【問題概要】
上智大学 法学部 法律学科 公募制推薦入試 2023年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
問題
下の新聞記事を読んで、この病院が行っている内密出産とはどのようなものか簡単な説明をしたうえで、あなたの考えを述べなさい。
課題文は、予期しない妊娠などで孤立した女性が匿名性を保って出産できる「内密出産」を実施する病院の取り組み、孤立出産や赤ちゃんの遺棄・殺人事件の背景、病院が制度の必要性を社会に説明しようとしていることを述べている。
問題【解説】
5STEPs法での書き方
STEP1で制度説明と立場、STEP2で生命保護、STEP3で出自を知る権利、STEP4で予防的支援、STEP5で結論を述べます。
問題【解答例:5STEPs段落構成】(729字)
STEP1
内密出産とは、予期しない妊娠などで周囲に相談できない女性が、病院には身元を明かして安全に出産しつつ、外部には名前を伏せる仕組みである。子どもの生命を守り、母親が孤立したまま危険な出産に追い込まれることを防ぐ目的がある。私は、この制度は一定の条件のもとで認め、行政と医療機関が支えるべきだと考える。
STEP2
第一に、内密出産は赤ちゃんと母親の命を守る現実的な手段である。妊娠を誰にも言えない女性を道徳的に責めても、孤立出産や遺棄の危険は減らない。病院につながる入口を用意すれば、出産時の医療、母体のケア、子どもの保護を確保できる。
STEP3
第二に、母親の匿名性と子どもの出自を知る権利の調整が必要である。子どもにとって、自分がどのように生まれたのかを知ることは人格形成に関わる重要な問題である。そのため、病院や公的機関が母親の情報を厳重に保管し、一定の年齢や条件のもとで子どもが情報にアクセスできる制度を整えるべきである。
STEP4
第三に、内密出産は最後の受け皿であり、これだけで問題は解決しない。妊娠相談、性教育、経済的支援、家庭内暴力からの避難先、養子縁組の説明などを早い段階で利用できるようにする必要がある。制度が周知されなければ、本当に困っている人に届かない。
STEP5
結論として、内密出産は安易に出産責任を軽くする制度ではなく、孤立した母子を医療と福祉につなぐ制度である。母親を罰する発想ではなく、子どもの生命を最優先にしながら、母親の事情と子どもの将来を両方守る仕組みとして整備すべきである。そのためには、病院任せにせず、国と自治体が法的根拠、情報管理、相談体制を明確にすることが不可欠である。さらに、相談した女性が責められるのではなく支援につながるという信頼を社会全体で作る必要がある。



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