【問題概要】
上智大学 外国語学部 ドイツ語学科 公募制推薦入試 2023年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
以下の文章を読み、設問に答えなさい。課題文は、グローバル人材論をめぐり、国が若者に国際競争力、語学力、コミュニケーション能力、主体性、チャレンジ精神などを求めてきたことを紹介する。その一方で、人口減少、超高齢化、震災復興などの課題とグローバル人材育成との関係は十分に検証されておらず、「グローバル人材」という概念は抽象度が高く、多様な社会課題に対応できる万能薬のように扱われていると批判する。また、地域で活躍するリーダーまでグローバルリーダーに含める定義には不備があると述べる。
設問1. 以上の文章を要約しなさい(400字以内)。
設問2. 著者の指摘を踏まえつつ、「グローバル人材」とはどのような人材のことと理解するべきかに関して、自分自身の考えを述べなさい(800字以内)。
設問1【解説】
400字以内なので、著者の批判点を抽象語の曖昧さ、課題解決との関係、定義の不備に整理します。
設問1【解答例】(360字)
課題文は、日本で語られてきた「グローバル人材」概念の曖昧さを批判している。政府文書では、語学力、コミュニケーション能力、主体性、チャレンジ精神、国際社会で活躍する力などが列挙されるが、それらが人口減少、超高齢化、震災復興などの国内課題の解決や経済成長にどう結びつくのかは十分に説明されていない。また、複雑な社会には多様な人材が必要であり、全員を同じ型のグローバル人材に近づける発想には無理がある。さらに、国際社会で活躍する人材と地域社会で活躍する人材を同じ概念に含めることにも検証不足がある。著者は、抽象的な理想を掲げる前に、どの場面でどのような能力が必要なのかを具体的に考えるべきだと指摘している。能力の列挙ではなく、目的と場面に即した人材像の再検討が必要だというのが文章の中心であり、教育政策にも具体性が求められる。
設問2【解説】
5STEPs法での書き方
STEP1で定義、STEP2で専門性、STEP3で異文化理解、STEP4で地域性、STEP5で結論を述べます。
設問2【解答例:5STEPs段落構成】(726字)
STEP1
グローバル人材とは、単に英語ができ、海外で働ける人のことではないと考える。課題文が批判するように、語学力、主体性、チャレンジ精神などを並べるだけでは、どの社会課題にどう役立つのかが曖昧になる。重要なのは、異なる背景を持つ人々と協働し、具体的な問題を解決できる力である。
STEP2
第一に、グローバル人材には専門性が必要である。医療、教育、環境、経済、法、地域開発など、何を通じて社会に貢献するのかがなければ、語学力だけでは十分でない。英語を話せても、相手に提供できる知識や技術がなければ、国際的な場でも地域の場でも役割は限られる。専門性があって初めて、外国語は課題解決の手段になる。
STEP3
第二に、異文化理解は相手に合わせる能力だけではない。自分の常識が絶対ではないと理解し、対立が起きた時に相手の背景を聞き取る力である。たとえば災害支援や移民支援では、制度の知識だけでなく、宗教、家族観、言語、生活習慣の違いを踏まえた調整が必要になる。
STEP4
第三に、地域性を軽視してはならない。国際社会で働く人だけがグローバル人材ではない。地域の企業、自治体、学校、福祉施設でも、外国につながる住民や海外市場と関わる機会は増えている。地域の課題を理解し、それを世界の課題と結びつけて考えられる人材が必要である。
STEP5
結論として、グローバル人材は、語学力を持つ万能型の人間ではなく、専門性、異文化調整力、地域への理解を組み合わせて、具体的な場で責任を果たす人である。教育は抽象的な標語を掲げるのではなく、どの分野で、誰と協働し、何を解決するのかを明確にした学びを用意すべきである。そのように考えて初めて、グローバル人材論は現実の課題解決に役立つ目標になる。能力を目的から切り離さないことが大切である。



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