【問題概要】
上智大学 総合グローバル学部 総合グローバル学科 編入学試験 2023年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。
課題文は、国家と国民との関係性の枠組みである「シティズンシップ」について述べる。国家は国民に政治的権利や経済活動の自由を認め、公教育、医療、社会保障などを通じて生活を保障する義務を負う。同時にシティズンシップは、国民を外国人から区別する仕組みでもあり、人を国民として包摂すると同時に外国人として排除する両面性を有している。一方で、滞在資格の有無にかかわらず、国家は外国人にも一定の人権を保障する義務を負っている。
問い:下線部①「外国人として国民から排除するという両面性」と、下線部②「滞在資格の有無にかかわらず、国家は外国人にも一定の人権を保障する義務を負っている」について、国内外の事例をそれぞれ個別にあげたうえで、日本における在留外国人の位置づけについて論じなさい。
問い【解説】
5STEPs法での書き方
STEP1でシティズンシップの両面性、STEP2で海外例、STEP3で人権保障、STEP4で日本の在留外国人、STEP5で結論を述べます。
問い【解答例:5STEPs段落構成】(745字)
STEP1
シティズンシップは、人を国民として包摂する一方で、外国人を国民から区別し、一定の権利から排除する仕組みでもある。たとえば日本では、在留外国人は納税し地域で生活していても、国政選挙の投票権を持たない。これは政治共同体の構成員を国民に限定する例であり、下線部①の両面性を示している。
STEP2
海外でも同様の問題は見られる。ヨーロッパ諸国では、移民が労働者として社会を支えながら、国籍を取得しない限り政治参加や公的職へのアクセスが制限されることがある。国民であることは権利保障の強い根拠になるが、その境界線の外側にいる人を二級の住民にしてしまう危険もある。
STEP3
一方で、下線部②が述べるように、外国人であっても人権は保障されなければならない。日本でも、在留資格のある外国人の子どもは学校教育を受け、医療や労働法の保護を受けるべきである。不法滞在であっても、生命、身体、最低限の医療、虐待や搾取からの保護は否定できない。人権は国籍の有無だけで決まらないからである。
STEP4
日本における在留外国人は、単なる一時的労働力ではなく、地域社会の生活者として位置づけられるべきである。技能実習生や留学生、永住者、外国にルーツを持つ子どもは、学校、職場、地域で日本社会を構成している。にもかかわらず、日本語支援、労働条件、住宅差別、行政手続きの多言語化には課題が残る。
STEP5
結論として、日本は国民と外国人の区別を完全になくす必要はないが、生活者としての権利保障を厚くすべきである。参政権など国民固有の権利と、教育、医療、労働、司法アクセスなど人間として保障される権利を整理し、後者を国籍にかかわらず実効的にすることが必要である。在留外国人を排除の対象ではなく、社会をともに作る構成員として扱うことが、これからのシティズンシップの課題である。



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