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上智大学 外国語学部 ドイツ語学科 外国人入試 2022年度 小論文 過去問解説

【問題概要】

上智大学 外国語学部 ドイツ語学科 外国人入試 2022年度の小論文過去問です。

【設問文全文】

下の文章は、2008年に文化庁より公刊された報告書の一部である。文章をよく読み、次の問いに答えなさい。課題文は、ドイツにおける宗教と国家の関係を扱い、キリスト教諸宗派の社会的位置、連邦とラントの権限分配、教育や宗教授業に関する制度、国家と宗教団体の協力関係を述べる。

1. 内容を400字以内で要約しなさい。

2. 文章の内容をよく踏まえると共に、その後の世界の状況の変化を考慮に入れながら、宗教と国家の関係はどうあるべきか、特に日本における宗教と国家の関係はどうあるべきかについて800字以内で論じなさい。

1【解説】

400字以内なので、ドイツの制度の特徴を、ラント、宗教授業、国家との協力に整理します。

1【解答例】(363字)

 課題文は、ドイツにおける宗教と国家の関係を、歴史的・制度的に説明している。ドイツではキリスト教が社会に大きな位置を占めてきたが、文化や教育に関する事項は原則としてラントの管轄であり、連邦が一律に管理するわけではない。宗教の授業なども各ラントの憲法や法規によって規律されるため、制度は地域ごとに異なる。また、国家は宗教を完全に私的領域へ閉じ込めるのではなく、一定の公的制度の中で宗教団体と関係を持つ。つまりドイツの制度は、政教分離を前提にしながらも、宗教の社会的役割を認め、国家と宗教の協力を制度化している点に特徴がある。単純な分離ではなく、地域性と公共性を踏まえた関係であり、宗教を社会の現実として扱っている。教育制度にもその特徴が表れており、宗教の自由と公的秩序を両立させようとしている。多元的な社会を前提にした制度である。

2【解説】

5STEPs法での書き方

STEP1で原則、STEP2で現代的変化、STEP3で日本の注意点、STEP4で協力条件、STEP5で結論を述べます。

2【解答例:5STEPs段落構成】(754字)

STEP1

 宗教と国家の関係は、国家が特定宗教を支配・優遇しないことを基本にしつつ、宗教を持つ人と持たない人の自由を平等に保障する形であるべきだ。課題文が示すドイツの制度は、宗教を完全に排除するのではなく、地域の歴史や教育制度の中で一定の協力を認めている。

STEP2

 現代では、移民の増加、イスラム教徒の存在感、宗教的少数者への差別、宗教を名目にした紛争やテロ、カルト問題など、宗教と国家をめぐる状況は複雑化している。宗教をすべて私事として扱えば、学校、医療、労働、福祉の場で生じる具体的な調整に対応できない。

STEP3

 一方で、国家が特定宗教と過度に結びつけば、少数者や無宗教者の自由が損なわれる。日本でも、憲法の政教分離原則は重要である。国家神道の歴史を踏まえれば、政府が特定の宗教的価値を国民統合の中心に置くことには強い警戒が必要である。

STEP4

 ただし、日本で宗教を公的空間から完全に消すべきではない。災害支援、貧困支援、孤独対策、葬送、地域共同体などで、宗教団体が果たす社会的役割はある。必要なのは、透明性、任意性、平等性を条件に、公共目的の範囲で協力する仕組みである。

STEP5

 結論として、宗教と国家は分離を原則とし、協力は限定的かつ公開された形で行うべきである。日本では、特定宗教の優遇を避けつつ、信教の自由、無宗教の自由、少数宗教の権利を守ることが重要である。そのうえで、福祉や災害支援など公共性の高い領域では、法の下の平等を条件に宗教団体の力を生かすことが望ましい。宗教を危険視して排除するだけでは、多様な市民の実生活に対応できない。反対に、国家が宗教的権威を利用すれば自由は失われる。だからこそ、透明なルールの下で距離と協力を両立させる必要がある。教育でも、一つの信仰を教え込むのではなく、複数の宗教と無宗教を理解する公共的な学びが求められる。

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