【問題概要】
上智大学 文学部 フランス文学科 帰国生入試 2022年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
英文または仏文和訳と、その内容に関する日本語による小論文。テクストを読んで下の問いに答えなさい。
2. 上のテクストで、主人公はなぜUrsule Mirouetに自分を重ねるのですか。それを説明した上で、書物の読み方は、読者の置かれた環境と関係があるかどうか、自分の考えを具体的に日本語で述べてください。(600字から800字程度)
2【解説】
5STEPs法での書き方
STEP1で主人公が重ねる理由、STEP2で立場、STEP3で具体例、STEP4で反対面、STEP5で結論を述べます。
2【解答例:5STEPs段落構成】(723字)
STEP1
主人公がUrsule Mirouetに自分を重ねるのは、作品中の人物の境遇や感情が、自分の置かれた環境や心情と響き合ったからである。読書は、書かれている内容を客観的に受け取るだけの行為ではない。読者は、自分の孤独、不安、希望、家族関係、社会的立場を通して、登場人物の言葉や行動を受け止める。
STEP2
書物の読み方は、読者の置かれた環境と深く関係していると考える。同じ小説を読んでも、家庭に恵まれた人と孤独を感じている人では、印象に残る場面が異なる。経済的に不安定な人は貧困や将来不安の描写に敏感になり、異国で暮らす人は言葉や居場所を失う人物に強く反応する。読書は、読者の経験によって意味を変える。
STEP3
たとえば、受験期に読む物語では、主人公の努力や挫折が自分の問題として迫ってくる。失恋した時には、以前は読み流した恋愛小説の一節が切実に感じられる。社会問題に関心を持つようになると、歴史小説や移民文学の中に、単なる物語ではなく現実社会への問いを見いだすこともある。
STEP4
ただし、環境だけが読み方を決めるわけではない。優れた書物は、自分とは異なる時代や階層、性別、文化の人間にも想像力を向けさせる。読書の価値は、自分と似たものを見つけることだけでなく、自分の環境を超えて他者の世界を理解することにもある。
STEP5
結論として、書物の読み方は読者の環境と関係する。主人公がUrsule Mirouetに自分を重ねたように、人は自分の経験を通して作品を読む。しかし読書は同時に、読者を自分の経験の外へ連れ出す力も持つ。だからこそ、同じ書物でも読む時期や状況によって意味が変わり、人生の中で何度も読み直す価値が生まれるのである。読者の環境は読みを狭めるだけでなく、作品と出会う入口にもなる。



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