【問題概要】
上智大学 法学部 法律学科 公募制推薦入試 2022年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
問1 実際におきた、児童虐待にかかわる具体的な事例または事件で、マスメディアで報道されたものをひとつ挙げて、その概要を300字程度で説明しなさい。
問2 児童虐待を防止しつつ、親が子に必要なしつけは行えるようにするためには、上記の8つの案のうち、どれが最も適切だと思うか。以下の2点に留意して、500字程度で自分自身の見解を述べなさい。解答のなかでは、自己の支持する案には、他の案とくらべてどのような利点があると思うのか、および、他の案には自己の支持する案とくらべてどのような問題点があると思うのかには、必ず言及すること。
問1【解説】
問1は300字程度なので、事件名、経緯、社会的教訓をまとめます。
問1【解答例】(272字)
児童虐待の具体例として、2018年に東京都目黒区で起きた船戸結愛さんの死亡事件がある。結愛さんは当時5歳で、父親から暴行や食事制限を受け、母親も十分に保護できなかった。結愛さんが「もうおねがいゆるしてください」と書いたノートが報道され、社会に大きな衝撃を与えた。児童相談所は以前から関与していたが、転居によって情報共有が不十分になり、家庭内の危険を止めきれなかった。周囲から見えにくい家庭内で、子どもが逃げ場を失っていた点も重大である。この事件は、虐待を家庭内のしつけとして見逃さず、関係機関が継続して子どもの安全を確実に確認する必要を示した。
問2【解説】
5STEPs法での書き方
STEP1で支持案、STEP2で利点、STEP3で支援の必要性、STEP4で他案との比較、STEP5で結論を述べます。
問2【解答例:5STEPs段落構成】(575字)
STEP1
私は、児童虐待を防止しつつ必要なしつけを可能にするためには、体罰を明確に禁止し、同時に親への相談・支援を充実させる案が最も適切だと考える。体罰を認める余地を残すと、親の側は「しつけ」として暴力を正当化しやすく、子どもは助けを求めにくくなるからである。
STEP2
この案の利点は、子どもの身体と尊厳を守る基準が明確になる点である。暴力を伴う行為はしつけではないと社会が示せば、学校、保育所、医療機関、近隣住民も異変に気づいた時に介入しやすい。また、親も感情的に手を上げそうな時、相談機関や一時預かりを利用する理由を持てる。
STEP3
ただし、禁止だけでは不十分である。育児の孤立、貧困、精神的負担、夫婦間暴力などがある家庭では、親も追い詰められていることが多い。親を罰するだけでは、問題は隠れ、子どもへの危険が見えにくくなる。相談支援、訪問支援、保育サービス、経済的援助を組み合わせる必要がある。
STEP4
他の案として、親の裁量を広く認める方法は家庭の教育方針を尊重する利点があるが、暴力との境界が曖昧になる。刑罰強化だけに頼る方法は抑止力を持つ一方、虐待が起きる前の予防には弱い。
STEP5
結論として、最も適切なのは、体罰禁止という明確な基準と、親を孤立させない支援を一体化する案である。子どもの安全を第一にしつつ、親が暴力以外の方法でしつけを行えるよう、社会が具体的な支えを用意すべきである。



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