【問題概要】
上智大学 文学部 ドイツ文学科 帰国生入試 2022年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
以下の文章の内容を踏まえて、母国語のもつ意味について、あなたの考えを600字〜800字にまとめて述べなさい。
課題文は、母国語が単なる伝達手段の習得にとどまらず、一人の人間の人格全体の問題に関わることを述べる。母国語は、感情、記憶、思考、他者との関係を形づくり、その人が世界を理解し、自分を表現する基盤となる。
問【解説】
5STEPs法での書き方
STEP1で立場、STEP2で思考、STEP3で記憶と共同体、STEP4で他者関係、STEP5で結論を述べます。
問【解答例:5STEPs段落構成】(735字)
STEP1
母国語は、単なる情報伝達の道具ではなく、人が世界を理解し、自分を形づくる基盤であると考える。外国語を学ぶことは重要だが、母国語は幼い頃から家族や地域、学校で使われ、感情や記憶と結びついている。そのため、母国語の意味は、便利なコミュニケーション手段という範囲を超えている。
STEP2
第一に、母国語は思考の土台である。人は言葉によって物事を区別し、理由を考え、他者に説明する。自分の感情も、言葉にできて初めて整理される。怒り、不安、喜び、恥ずかしさのような感情は、母国語の細かな表現によって自分の中で意味を持つ。
STEP3
第二に、母国語は記憶と共同体を支える。家庭で聞いた言葉、地域の言い回し、物語や歌は、個人の過去と結びついている。母国語を失うことは、単に一つの言語能力を失うことではなく、自分がどこから来たのかを語る手がかりを弱めることでもある。
STEP4
第三に、母国語は他者と深く関係する力を与える。表面的な意味だけでなく、敬語、冗談、沈黙、遠回しな表現などを通じて、人は相手との距離を調整する。そこには文化的な感覚が含まれる。母国語を大切にすることは、自国文化を絶対化することではなく、自分の立場を自覚して他者と向き合うための準備である。
STEP5
結論として、母国語は人格、記憶、思考、共同体を支える根である。外国語を学ぶ時にも、母国語が豊かであれば、自分の考えを明確にし、相手の文化とも比較できる。国際化の時代だからこそ、母国語を軽視するのではなく、母国語を通して自分を理解し、そのうえで他の言語と出会う姿勢が必要である。母国語を深く使える人は、翻訳できない感情や価値観にも気づきやすい。その気づきが、異なる言語を話す人を単に便利な相手としてではなく、別の世界の見方を持つ人として尊重する態度につながる。



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