【問題概要】
上智大学 総合人間科学部 看護学科 帰国生入試 2021年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
以下の文章には「ひとを理解する」ことに関する著者の考えが述べられている。この考えに対するあなたの意見とその理由を、あなたの体験や経験など具体例を交えて、800字以内で論じなさい。
課題文は、「他人の痛みがどうしても分からない」という経験から出発し、相手を完全に分かったつもりになることの危うさを述べている。著者は、理解とは相手と同じ感情や意見になることではなく、相手が自分とは異なる存在であることを認め、その違いを自分の枠に押し込めずに向き合うことだと論じている。
問1【解説】
5STEPs法での書き方
STEP1で立場、STEP2で体験、STEP3で看護への接続、STEP4で理解の限界、STEP5で結論を述べます。
問1【解答例:5STEPs段落構成】(734字)
STEP1
私は、ひとを理解するとは、相手の気持ちを完全に自分のものにすることではなく、分からなさを残したまま相手に近づこうとする姿勢だと考える。著者が述べるように、他人の痛みを完全に感じることはできない。だからこそ、理解したつもりになって相手を自分の経験に当てはめることは危険である。
STEP2
私にも似た経験がある。友人が進路のことで悩んでいた時、私は自分の経験から「早く決めた方が楽になる」と助言した。しかし友人は黙り込み、後で「決められないこと自体が苦しい」と話してくれた。私は助けたつもりだったが、実際には相手の不安を自分の基準で処理しようとしていた。
STEP3
この経験から、相手を理解するには、まず聞くことが必要だと学んだ。特に看護の場面では、患者の痛みや不安を医療者が完全に代わって感じることはできない。症状が同じでも、生活背景、家族関係、価値観によって苦しみ方は異なる。安易に「分かります」と言うより、何がつらいのかを具体的に尋ねる姿勢が大切である。
STEP4
また、理解には自分の限界を認めることも含まれる。相手の言葉が少ない時、沈黙や表情、生活上の困りごとから考える必要があるが、それも推測にすぎない。だからこそ、確認しながら関わることが求められる。自分の判断を絶対視せず、相手が訂正できる余地を残すべきである。
STEP5
結論として、ひとを理解するとは、相手を自分と同じ存在に変えることではなく、違いを尊重しながら関係を作ることである。分からないから諦めるのではなく、分からないことを前提に問い、聞き、確認し続ける。その態度が、相手の尊厳を守る理解につながる。看護や対人支援では、この姿勢が信頼の基礎になる。相手の苦しみを自分の物語に回収せず、相手自身の言葉として受け止めることが、私の考える理解である。



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