【問題概要】
上智大学 総合人間科学部 看護学科 公募制推薦入試 2021年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
下記の文章を読み、著者の主張に対するあなたの考えを、自身の体験を踏まえて800字以内で述べなさい。
課題文は、日本文化モデルが「和」を尊び争いを避ける技術を発展させてきた一方、欧米文化モデルが培ってきた争いの文化を知る必要があると述べている。
課題文には「争いには肯定的、積極的な側面があること、争うことには長所があることをまず認識しなくてはならない」「見せかけの和から、本当の和への模索が始まる」とある。
問題【解説】
設問条件の判定
800字以内で自身の体験を踏まえる意見論述なので、5STEPs法を用います。
5STEPs法での書き方
STEP1で著者への立場、STEP2で体験、STEP3で体験からの考察、STEP4で看護への接続、STEP5で結論を述べます。
問題【解答例:5STEPs段落構成】(776字)
STEP1
私は、著者の主張に賛成する。争いは人間関係を壊すものとして避けられがちだが、課題文が述べるように、隠された問題を表面化し、見せかけの和を本当の和へ近づける働きもある。特に看護のように多職種が関わり、人の生命や生活に影響する場では、対立を避けるだけでは必要な情報や違和感が共有されない。
STEP2
私自身、学校のグループ活動で、役割分担に不満があっても雰囲気を壊したくなくて黙っていた経験がある。最初は表面上うまく進んでいるように見えたが、一部の人に作業が偏り、提出直前に不満が噴き出した。そこで初めて、何が負担になっているか、誰がどの作業をできるかを話し合った。対立を恐れていた時よりも、意見を出し合った後の方が協力しやすくなった。
STEP3
この経験から、争いの価値は、相手を打ち負かすことではなく、言葉にされていなかった問題を共有することにあると考える。課題文にある「本来の自己」と「集団の和を尊ぶ自己」の葛藤は、医療現場でも起こりうる。たとえば患者の希望、家族の意向、医療者の判断がずれる場合、遠慮して黙れば一時的な平穏は保てる。しかし、それでは患者にとって何が大切かが見えにくくなる。
STEP4
ただし、争いを肯定することは、感情的な攻撃を認めることではない。必要なのは、相手の人格を否定せず、事実、理由、希望を分けて伝える技術である。看護師には、患者や家族の声を受け止めるだけでなく、医師や他職種に必要な情報を伝える役割がある。その際、和を乱さないために沈黙するのではなく、よりよいケアのために建設的に異議を述べる力が求められる。
STEP5
したがって、争いは避けるべき悪ではなく、扱い方を学ぶべき対話の一形態である。表面上の調和を守るだけでは、弱い立場の人の不満や危険が隠れてしまう。私は看護を学ぶ上で、相手を尊重しながら必要な対立を恐れず、問題を共有して解決へ向かう姿勢を身につけたい。



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