【問題概要】
上智大学 法学部 国際関係法学科 編入学試験 2021年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
次の課題文を読んだのち、下記の問いに答えてください。課題文は、「国家はグローバル化にどう対応しようとしているのだろうか」という問いに対する一つめの答え方として、グローバル化によって国内政治が規定され、市場の動きに国家が従属していくという見方を説明している。
問1:この一つめの答え方について、本文を参照しつつまとめてください(400字)。
問2:二つめの答え方として、筆者は「国家と資本主義が別々のメカニズムで動いており、グローバル化への各国の対応は分岐しているというとらえ方」があるとしている。グローバル化への各国の対応が分岐する要因としてはどのようなことがあり得るのかについて、論じてください。なお、以下のキーワードを必ず使用してください(400字)。民主主義、社会不安の緩和、人的資本への投資
問1【解説】
市場への国家従属、多国籍企業、ワシントン・コンセンサスを軸にまとめます。
問1【解答例】(291字)
一つめの答え方は、グローバル化によって国家が市場に従属していくという見方である。国境を越えてモノ、カネ、サービスが自由に移動できるようになると、多国籍企業や金融資本は、賃金、税、規制の低い場所へ生産拠点や資本を移せる。すると国家は企業を国内に引き止めるため、減税、社会保障の縮小、労働規制や環境規制の緩和を迫られる。また、企業は海外移転を背景に労働者に対して有利な立場に立ち、賃金や労働条件を下げやすくなる。この結果、政府や国際機関の政策には多国籍企業や金融業界の利益が反映され、市場自由化を重視するワシントン・コンセンサスや、国民を競争へ駆り立てるワークフェア型競争国家が生じる。
問2【解説】
指定語を使い、国家ごとの制度と政策選択の違いを論じます。
問2【解答例】(297字)
各国の対応が分岐する要因は、民主主義の制度、社会不安の緩和の仕方、人的資本への投資の程度である。民主主義が強く、労働組合や市民の声が政策に反映される国では、市場競争だけを優先せず、福祉や労働保護を維持しやすい。失業や格差による社会不安の緩和を重視する国は、再分配、職業訓練、住宅支援を通じてグローバル化の負担を和らげる。一方、企業誘致だけを優先すれば、減税や規制緩和に偏りやすい。また人的資本への投資、つまり教育、技能訓練、研究開発を重視する国は、低賃金競争に頼らず、高付加価値産業で対応できる。したがって、国家は市場に一方的に従属するだけでなく、国内制度と政策選択によって異なる道を取りうる。



コメントを残す